無料相談・資料請求

絶縁用保護具の定期自主検査|6か月以内ごとの検査と記録3年保存(EV・HV整備の絶縁手袋)

公開日:2026年10月17日

絶縁用保護具の定期自主検査 6か月以内ごとの検査と記録3年保存 EV・HV整備の絶縁手袋

ハイブリッド車や電気自動車の整備のために絶縁手袋をそろえたら、次に決めるのは点検と検査の仕組みです。労働安全衛生規則には、絶縁用保護具の使用、毎日の使用前の点検、6月以内ごとの絶縁性能の定期自主検査と記録の3年保存が定められています。この記事では、整備工場の経営者に向けて、第348条の使用義務、第351条の定期自主検査の対象と周期、使わない期間と再使用時の扱い、記録の項目、外部の耐電圧試験の使い方、第352条の使用前点検を条文で確認します。あわせて、第351条の対象範囲の書き方と、直流で動く駆動用電池の回路との関係も整理しました。条文の読み方で迷う点は、所轄の労働基準監督署への確認を前提に書いています。

この記事で確認した一次情報

絶縁用保護具の定期自主検査とは

絶縁用保護具の定期自主検査とは、絶縁手袋などの絶縁用保護具の絶縁性能を、事業者が6月以内ごとに1回、定期に確かめる検査です。労働安全衛生規則第351条第1項が定めており、6月を超える期間使わない保護具は、その使わない期間に限って検査が要りません。その代わり、使用を再び始める際に絶縁性能の検査を行います(同条第2項)。検査で異常が見つかったら、補修その他必要な措置を講じた後でなければ使えません(第3項)。検査をしたときは、検査年月日、検査方法、検査箇所、検査の結果、検査を実施した者の氏名、補修等の措置を講じたときはその内容の6項目を記録し、3年間保存します(第4項)。義務を負うのは事業者なので、保護具を使う従業員任せにせず、検査の時期と記録の置き場を会社として決めておきます。

項目労働安全衛生規則第351条の定め
周期6月以内ごとに1回、定期に絶縁性能を検査します(第1項)
使わない期間6月を超えて使用しない期間は検査が要りません(第1項ただし書)
再使用時使用を再び開始する際に検査します(第2項)
異常があったとき補修その他必要な措置の後でなければ使えません(第3項)
記録6項目を記録し、3年間保存します(第4項)

EV・HV整備で使う絶縁用保護具の種類

EV・HV整備で使う絶縁用保護具は、絶縁手袋と絶縁用靴が中心で、ほかに保護眼鏡や絶縁シートを組み合わせます。2024年6月12日付の厚生労働省の通達(基発0612第22号)は、電気自動車等の整備の業務に係る特別教育の範囲として、絶縁用保護具には絶縁手袋と絶縁用靴が含まれ、電気自動車等の電路を停電させる操作等を行うにあたって適切な耐電圧性能を持つものを選ぶ必要があることを示しています。同じ通達は、絶縁用防具に絶縁シートが含まれること、その他の安全作業用具に保護眼鏡が含まれることも挙げています。2019年の厚生労働省の検討会報告書は、サービスプラグを外すときにPOWERスイッチのOFF忘れや誤操作で活線状態となるおそれがあるため、絶縁用保護具が使われていると説明しています。停電させてから行う作業でも、停電させる操作の段階で保護具が要るという整理です。

区分EV・HV整備での例根拠となる資料
絶縁用保護具絶縁手袋、絶縁用靴基発0612第22号、2019年の検討会報告書
絶縁用防具絶縁シート基発0612第22号
その他の安全作業用具保護眼鏡基発0612第22号
検電器サーキットテスター、絶縁抵抗計基発0612第22号

保護具の扱い方は、電気自動車等の整備の特別教育の学科「安全作業用具に関する基礎知識」(0.5時間以上)で教える内容です。従業員の教育の段取りは電気自動車・ハイブリッド車の整備に必要な特別教育で整理しています。

第348条の絶縁用保護具の使用義務

労働安全衛生規則第348条は、事業者が使う絶縁用保護具等について、それぞれの使用の目的に適応する種別、材質、寸法のものを使うよう定めた条文です。第1項は対象を5つの号に分け、第1号から第4号は高圧の活線作業などに関わるもの、第5号は第346条(低圧活線作業)と第347条(低圧活線近接作業)の保護具等です。第346条は、低圧の充電電路の点検や修理など当該充電電路を取り扱う作業で感電の危険が生ずるおそれのあるとき、事業者が労働者に絶縁用保護具を着用させるか活線作業用器具を使わせなければならないと定め、労働者にも命じられたら着用する義務を課しています。第348条第2項は、第5号の保護具等で直流750ボルト以下又は交流300ボルト以下の充電電路に使うものについて、その電路の電圧に応じた絶縁効力を持つものを使うよう求めています。大きさや耐電圧の合わない手袋は、条文の上でも問題になります。

第348条第1項の号対象
第1号第341条から第343条までの絶縁用保護具(高圧の活線作業、活線近接作業など)
第2号第341条と第342条の絶縁用防具
第3号第341条と第343条から第345条までの活線作業用装置
第4号第341条、第343条と第344条の活線作業用器具
第5号第346条と第347条の絶縁用保護具と活線作業用器具、第347条の絶縁用防具(低圧)

自動車整備工場開業・整備士独立のスタート支援

ハイブリッド車の受け入れに合わせて、保護具の準備や点検の仕組みをどう整えるかを開業前からご相談いただけます。

無料相談・資料請求支援サービスを見る

第351条の対象範囲と直流の駆動用電池

第351条の定期自主検査の対象は、第348条第1項各号の絶縁用保護具等で、そのうち第5号(低圧用)のものは「交流で三百ボルトを超える低圧の充電電路に対して用いられるもの」に限ると書かれています。第1号から第4号の高圧用には、この限定がありません。駆動用電池の回路は直流で、2019年の検討会報告書は電圧をDC200から400V程度と記しています。条文の限定は交流の電圧だけで書かれているため、直流750ボルト以下の駆動用電池の回路に使う絶縁手袋が第351条の対象に入るかは、条文の文言だけでは読み切れません。一方、2024年10月から特別教育の対象に加わった直流750ボルト超の高圧の蓄電池の車で、高圧の充電電路を取り扱う作業(第341条)に使う保護具は第1号に当たり、限定なく6月以内ごとの検査の対象です。迷う場合は所轄の労働基準監督署に確認し、それまでは6月以内ごとに検査して記録を残すのが安全側です。

保護具を使う電路第348条第1項の区分第351条の定期自主検査
高圧(直流750V超、交流600V超から7,000V以下)第1号から第4号に当たります対象です(6月以内ごとに1回)
低圧で交流300V超第5号に当たります対象です(6月以内ごとに1回)
低圧で交流300V以下第5号に当たります条文の限定により対象外です
低圧の直流(750V以下)第5号に当たります条文は交流でのみ限定を書いており、文言だけでは判断できないため監督署に確認します

参考として、絶縁用保護具の型式検定を定めた労働安全衛生法施行令第14条の2第10号は、対象を「直流にあつては七百五十ボルトを、交流にあつては三百ボルトを超える充電電路について用いられるもの」としています。型式検定と定期自主検査は別の制度なので、施行令の書き方から第351条の範囲を推し量ることはしません。

どちらの読み方をとっても、第352条の使用前点検は電圧の限定なく求められ、第348条の「用途に合った保護具を使う」義務も残ります。定期の検査を省くかどうかを、確認をとらないまま自社で判断することはおすすめしません。

6か月以内ごとの検査と使わない期間の扱い

6か月以内ごとの定期自主検査は、前回の検査から6月を超えないうちに次の検査を行う決まりで、使用開始日を起点に年2回の予定を組むと管理しやすくなります。第351条第1項ただし書は、6月を超える期間使用しない絶縁用保護具等について、その使用しない期間は検査を要しないとしています。たとえば予備として保管している保護具は、6月を超えて使わない間の検査を省けます。ただし、同条第2項により、使用を再び開始する際には絶縁性能の検査を行わなければなりません。棚にしまってあった手袋を急に使う日が来ても、検査をしていなければその日には使えないということです。予備の保護具を持つ工場では、使用中のものと保管中のものを分けて台帳に載せ、それぞれの検査日と次の予定日を書いておくと、再使用時の検査漏れを防げます。

  • 保護具ごとに番号を付け、台帳に購入日、使用開始日、前回の検査日、次の検査予定日を書く。
  • 6月を超えて使わない予備の保護具は「保管中」と表示し、使用を再び始める前に検査する。
  • 検査で異常があった保護具は、補修等をするまで使えない場所に分けて置く。

定期自主検査の記録項目と3年保存

定期自主検査の記録は、第351条第4項が定める6項目をそのまま様式の欄にすると漏れがありません。6項目は、検査年月日、検査方法、検査箇所、検査の結果、検査を実施した者の氏名、検査の結果に基づいて補修等の措置を講じたときはその内容です。保存期間は3年間で、特別教育の記録(第38条)と同じ年数です。外部の検査機関に検査を頼んだ場合も、記録を作成して保存する義務は事業者に残るため、検査機関が発行する成績書などを受け取り、保護具の番号と結び付けて保管します。2年分の検査、つまり4回程度の記録が1枚で見られる様式にしておくと、監督署の確認や社内の点検で過去の結果を追いやすくなります。紙でも電子でもかまいませんが、担当者が辞めても場所が分かるように、工場の他の法定書類と同じ場所に置きます。

記録の欄(第351条第4項)書く内容の例
検査年月日検査を行った日を書きます
検査方法目視による外観の確認、耐電圧試験(試験電圧と時間)などを書きます
検査箇所手袋の全面、指の股、袖口など
検査の結果異常の有無を書きます
検査を実施した者の氏名社内の担当者名、または外部の検査機関名と担当者名
補修等の措置の内容廃棄して新品に交換した、補修したなどの内容を書きます

外部の耐電圧試験の利用

絶縁性能の確認には耐電圧試験の設備が要るため、小さな整備工場では、保護具メーカーや検査を請け負う事業者に試験を頼むのが現実的です。電気用ゴム手袋のメーカーであるヨツギ株式会社の「電気用ゴム手袋及び二層手袋(低圧用)の取扱及び点検の方法」は、6か月以内ごとに1回、絶縁性能等について目視検査と耐電圧試験による定期自主検査を行い、記録を3年間保管するよう求めています。同じ資料は、電圧が300ボルトを超え交流600ボルト又は直流750ボルト以下の電路に使う低圧用手袋の定期自主検査の試験電圧を、交流1,500ボルト以上、試験時間を1分間と示しています。この試験条件は法令の条文ではなくメーカーの資料にある値なので、実際に使う手袋の取扱説明書と、検査を頼む先の試験条件で確かめます。外部に出している間に使う代わりの保護具をどうするかも、依頼の前に決めておきます。

依頼前に確かめること確かめ方
試験電圧と試験時間手袋の種別と使う電路の電圧に合っているかを確かめます
成績書の発行と記載項目第351条第4項の6項目を記録に残せるかを見ます
預ける期間検査中に使う代わりの保護具を用意します
不合格時の扱い補修か廃棄かを決め、措置の内容を記録します

毎日の使用前点検(第352条)と保管

絶縁用保護具の使用前点検とは、その日の使用を始める前に、ひび、割れ、破れその他の損傷の有無と乾燥状態を確かめる点検で、労働安全衛生規則第352条が事業者に求めています。第352条の表は、第346条と第347条の絶縁用保護具もこの点検事項の対象に挙げており、第351条のような電圧の限定はありません。異常を認めたときは、直ちに補修するか取り換えます。点検の方法として、ヨツギ株式会社の資料は、手袋の内外面を目視で確かめることに加え、手袋に空気内圧を加えてピンホールなどの損傷の有無を調べるよう示しています。同じ資料は保管について、使用後は汚れを拭き取ってよく乾かし、65℃以下でできるだけ自然な形で乾燥させること、油類や溶剤、酸、アルカリとの接触を避けること、折り曲げずに日光や湿気、熱気の影響がない冷暗所に置くことを挙げています。工具箱に他の工具と一緒に押し込む保管は、この点で避けます。

  • 保護具の番号ごとに、次の定期自主検査の予定日を台帳に書いた。
  • 使用前点検(ひび、割れ、破れ、乾燥状態)を作業者が毎日行う手順にした。
  • 空気内圧を加えるピンホールの確認方法を、手袋の取扱説明書で確かめた。
  • 第351条の対象かどうか迷う保護具について、所轄の労働基準監督署に確認した。
  • 外部の検査機関に依頼する場合の試験条件、成績書、預ける期間を確かめた。
  • 検査記録(6項目)を3年間保存する場所を決めた。
  • 保護具を冷暗所に、折り曲げずに保管する場所を用意した。

ひとりで独立した後に初めて人を雇うときの準備は整備士が独立・開業する方法とあわせて確認してください。保護具を含めた工場全体のEV・HV対応は整備工場がEV・ハイブリッド車の整備に対応するにはで整理しています。保護具を使う作業の手順は姉妹サイトのサービスプラグと高電圧作業の安全手順、工場の設備全体は認証工場の設備と工具も参考になります。

まとめ

絶縁用保護具の管理は、毎日の使用前点検、6月以内ごとの定期自主検査、記録の3年保存の3つで回します。第351条は、6月を超えて使わない保護具の検査をその期間だけ不要とし、使用を再び始める際の検査を求めています。異常があれば補修などの措置をするまで使えません。記録は検査年月日、方法、箇所、結果、実施者の氏名、補修等の内容の6項目です。第351条の対象は、低圧用では交流300ボルト超の電路に使うものに限ると書かれているため、直流の駆動用電池の回路に使う手袋の扱いは所轄の労働基準監督署に確認し、確認がとれるまでは6月以内ごとの検査を続けるのが安全側です。耐電圧試験は外部に頼めますが、記録を残す義務は事業者に残ります。台帳と様式を先に作っておけば、保護具が増えても管理が崩れません。

絶縁用保護具の定期自主検査に関するよくある質問

絶縁手袋の定期自主検査はどのくらいの頻度で行いますか?
労働安全衛生規則第351条第1項は、対象の絶縁用保護具等について6月以内ごとに1回、定期に絶縁性能を検査するよう定めています。6月を超えて使わない期間は検査が要りませんが、使用を再び始める際に検査します。
定期自主検査の記録は何年保存しますか?
3年間です(第351条第4項)。記録する項目は、検査年月日、検査方法、検査箇所、検査の結果、検査を実施した者の氏名、補修等の措置を講じたときはその内容の6つです。
EVやハイブリッド車の整備で使う絶縁手袋も第351条の対象ですか?
第351条は、低圧用(第348条第1項第5号)の保護具について「交流で三百ボルトを超える低圧の充電電路に対して用いられるもの」に限ると書いており、直流の駆動用電池の回路に使う場合の扱いは文言だけでは判断できません。直流750ボルト超の高圧の充電電路を取り扱う作業に使う保護具は限定なく対象です。迷う場合は所轄の労働基準監督署に確認し、確認がとれるまでは6月以内ごとに検査しておくのが安全側です。
耐電圧試験は自社で行わないといけませんか?
保護具メーカーや検査を請け負う事業者に依頼する方法があります。依頼しても、記録を作成して3年間保存する義務は事業者に残るため、成績書を受け取り、保護具の番号と結び付けて保管します。試験電圧と時間は、手袋の種別と依頼先の試験条件で確かめます。
使用前の点検では何を確かめますか?
第352条は、その日の使用を始める前に、ひび、割れ、破れその他の損傷の有無と乾燥状態を点検し、異常があれば直ちに補修又は取り換えるよう定めています。手袋メーカーの資料は、目視に加えて空気内圧を加えてピンホールの有無を確かめる方法を示しています。
保護具の台帳や点検記録と一緒に、整備の記録も管理したいのですが?
点検や車検の受付、見積、請求、整備記録をまとめて扱うのが自動車整備システム(自動車整備ソフト)です。中古車も販売するなら車両販売システム(車販ソフト)とデータがつながるかを確認します。整備システム 比較や整備ソフト おすすめの情報を見るときは、整備ソフト 安いかどうかだけでなく、整備システム リースなしで始められるか、工場の人数に合うかも確かめてください。

出典

この記事は次の一次情報をもとに作成しています(2026年10月17日確認)。

認証工場の取得・整備工場の開業を検討中の方へ

認証取得後の集客・業務管理システム(DREAM POWER)まで、自動車業界20年以上の実績でトータルサポート。ご相談は無料です。

無料で相談・資料請求する