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分解整備の定義とは|施行規則第3条の7装置、該当する作業としない作業、無認証の罰則

公開日:2026年10月4日

分解整備の定義 施行規則第3条の7装置と、認証が要る作業の線引きを確認

整備士として独立するとき、最初に線を引いておきたいのが「どの作業から認証が要るのか」です。その線が分解整備の定義で、道路運送車両法施行規則第3条に7つの号として書かれています。勤め先の工場では認証があるのが当たり前だったので、条文を読んだことがない人も多いでしょう。定義は「どの装置の、どの部品を取り外すか」で決まっているため、一度整理すれば、開業当初に認証なしで受けられる仕事と、認証を取ってから受ける仕事を自分で仕分けられます。この記事は「整備工場の開業・認証」シリーズの一つとして分解整備の定義を扱い、施行規則第3条の7装置と、認証が要る作業の線引きを確認します。

この記事で確認した一次情報

分解整備の定義(道路運送車両法施行規則第3条)

分解整備とは、道路運送車両法施行規則第3条第1号から第7号のいずれかに当たる自動車の整備又は改造のことです。法第49条第2項は、原動機、動力伝達装置、走行装置、操縦装置、制動装置、緩衝装置、連結装置又は自動運行装置を取り外して行う整備や改造、その他これらの装置の作動に影響を及ぼすおそれがある整備や改造のうち国土交通省令で定めるものを「特定整備」と定義しています。その省令が施行規則第3条で、第1号から第7号を「分解整備」、第8号と第9号を「電子制御装置整備」と呼び分けています。7つの号はどれも「〇〇を取り外して行う自動車の整備又は改造」という形で、取り外す部品が具体的に列挙されています。つまり分解整備かどうかは、作業の名前ではなく、列挙された部品を取り外すかどうかで決まります。分解整備を事業として行うには、法第78条により地方運輸局長の認証が必要です。

施行規則第3条(装置)取り外すと分解整備になる部品と、条文で除かれているもの
第1号(原動機)原動機を取り外して行う整備や改造が当たる。除外の定めはない
第2号(動力伝達装置)クラッチ、トランスミッション、プロペラシャフト、デファレンシャル、ドライブシャフトが対象になる。二輪の小型自動車のクラッチは除かれる
第3号(走行装置)フロントアクスル、前輪独立懸架装置、リアアクスルシャフトが対象になる。ストラットと二輪の小型自動車は除かれる
第4号(かじ取り装置)ギヤボックス、リンク装置の連結部、かじ取りホークが対象になる。除外の定めはない
第5号(制動装置)マスタシリンダ、バルブ類、ホース、パイプ、倍力装置、ブレーキチャンバ、ブレーキドラム、ディスクブレーキのキャリパが対象になる。二輪の小型自動車はドラムが除かれ、ライニング交換のためのシュー脱着が対象になる
第6号(緩衝装置)シャシばねが対象になる。コイルばねとトーションバースプリングは除かれる
第7号(連結装置)けん引自動車又は被けん引自動車の連結装置が対象になる。トレーラヒッチとボールカプラは除かれる

分解整備に該当する作業・該当しない作業

分解整備に該当するかどうかは、施行規則第3条に列挙された部品を取り外すかどうかで判断します。エンジンの載せ替え、トランスミッションやドライブシャフトの脱着、ブレーキホースやキャリパの脱着は、それぞれ第1号、第2号、第5号に部品名が書かれているので分解整備です。反対に、第3条の装置に入っていない部分の整備は分解整備に当たりません。国土交通省の特定整備制度概要は、灯火装置などを「分解整備」の対象外として示しています。また条文の括弧書きで除かれている部品、たとえばストラット、コイルばね、トーションバースプリング、トレーラヒッチ、ボールカプラだけを取り外す作業も、その号では分解整備になりません。注意したいのは、一つの作業で複数の部品を外す場合です。ストラット交換でも、手順の中でブレーキホースやキャリパを取り外せば第5号に当たります。判断がつかない作業は、受ける前に管轄の運輸支局に確認するのが確実です。

作業の例条文の当てはめ
エンジンの載せ替え、オーバーホールのための脱着第1号の原動機を取り外すので分解整備に当たる
クラッチ交換、ミッションの脱着第2号のクラッチやトランスミッションを取り外すので分解整備に当たる
ドライブシャフトブーツ交換でドライブシャフトを外す第2号のドライブシャフトを取り外すので分解整備に当たる
ブレーキホースの交換、キャリパのオーバーホール第5号のホースやキャリパを取り外すので分解整備に当たる
ストラット単体の交換第3号ではストラットが除かれているが、ブレーキ部品などを外せば他の号に当たる
コイルスプリングの交換第6号ではコイルばねが除かれているが、他の号の部品を外せば該当する
ヘッドランプの交換灯火装置は分解整備の対象外とされている(特定整備制度概要)

上の表は条文の文言を当てはめた整理です。オイルやタイヤの交換のように第3条の部品を取り外さない作業は、条文上の分解整備に当たりません。ただ、実際の作業手順は車種で違います。認証のない状態で受ける仕事は、手順の中で列挙部品を外さないものに限るという線を、自分で決めておくと迷いません。

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ガラス交換と電子制御装置整備の関係

フロントガラスの交換は分解整備ではありませんが、前方カメラが付いた車では電子制御装置整備に当たります。施行規則第3条第8号は、前方の状況を検知するセンサー、その情報を処理する電子計算機、センサーが取り付けられた車体前部又は窓ガラスの取り外しや機能の調整のうち、かじ取り装置又は制動装置の作動に影響を及ぼすおそれがあるものを電子制御装置整備と定めています。国土交通省の問答集は、カメラやレーダーが付いていないガラスやバンパの脱着は該当しないとし(問2)、カメラ付きガラスを脱着したあとはエーミング作業が必要だとしています(問13)。対象になるのは衝突被害軽減ブレーキやレーンキープ機能が保安基準の適用を受けている自動車で、型式で判別できるリストが国土交通省のページに公表されています(問3)。この作業を事業として行うには、分解整備とは別に電子制御装置整備の認証が必要です。

  • カメラやレーダーが付いていないガラス、バンパの脱着:電子制御装置整備に当たらない
  • 前方カメラ付きフロントガラスの脱着:電子制御装置整備に当たり、エーミングも必要
  • ミリ波レーダー付きバンパ、グリルの脱着:電子制御装置整備に当たる
  • 電子制御装置整備の認証工場の構内で、取り決めのもとガラス業者が作業する:認証工場の作業として扱える(問5)

電子制御装置整備の認証の取り方は、特定整備の認証の記事とエーミング・特定整備の記事で扱っています。

分解整備を無認証で行った場合の罰則

分解整備を事業として無認証で行うと、道路運送車両法第109条第11号により50万円以下の罰金の対象になります。対象は「第78条第1項の規定による認証を受けないで自動車特定整備事業を経営した者」です。認証を受けていても、法第78条第2項で限定された業務の範囲を超えて作業すると、第109条第12号で同じく50万円以下の罰金です。従業員が違反した場合、第111条の両罰規定により事業者である法人や個人にも罰金刑が科されます。さらに、認証を受けていないのに認証工場の標識やそれに似た標識を掲げると、第89条第2項違反として第110条で30万円以下の罰金です。認証を受けた事業者が法令に違反した場合は、第93条により3月以内の事業の停止や認証の取消しを命じられることがあり、取消しを受けると2年間は新たな認証を受けられません(第80条第1項第2号ロ)。

違反の内容根拠条文と罰則
認証を受けずに特定整備事業を経営した法第78条第1項違反として、第109条第11号により50万円以下の罰金の対象になる
認証で限定された業務の範囲を超えた法第78条第2項違反として、第109条第12号により50万円以下の罰金の対象になる
認証がないのに標識や類似の標識を掲げた法第89条第2項違反として、第110条により30万円以下の罰金の対象になる
認証事業者が法令や処分に違反した法第93条により、3月以内の事業停止又は認証取消しを命じられることがある

独立直後は、知り合いから「ブレーキだけ見てほしい」と頼まれる場面もあります。認証が出るまでは列挙部品を外す仕事は受けない、と決めておくのが一番の予防策です。

分解整備と特定整備記録簿

分解整備をしたときの記録は、認証工場と使用者で書く書類が違います。自動車特定整備事業者は、法第91条により特定整備記録簿を備え、自動車登録番号又は車台番号、特定整備の概要、完了した年月日、依頼者の氏名又は名称と住所を記載し、写しを自動車の使用者に交付して、記載の日から2年間保存しなければなりません。施行規則第62条の2により、特定整備時の総走行距離、整備主任者の氏名、事業者の氏名又は名称と事業場の所在地、認証番号も記載事項です。一方、使用者が自分で特定整備をしたときは、法第49条第2項により点検整備記録簿に整備の概要などを記載します。認証工場が実施した場合はこの使用者の記載義務が外れるため、記録簿の写しを確実に渡すことが、認証工場に頼む意味の一つにもなります。記録簿の書き方の例は国土交通省が公開しています。

  • 特定整備記録簿の記載事項:登録番号等、整備の概要、完了日、依頼者、総走行距離、整備主任者の氏名、事業者名と所在地、認証番号
  • 交付:写しを使用者に渡す(法第91条第2項)
  • 保存:記載の日から2年間(法第91条第3項)

独立前に決める分解整備の範囲

独立して認証を取るとき、分解整備の7装置すべてを対象にする必要はありません。法第78条第2項は、対象とする自動車の種類を指定し、業務の範囲を限定して認証できると定めています。原動機を外せば、施行規則別表第四の作業場の寸法も小さくなります。たとえば普通自動車(乗用)の車両整備作業場は、原動機を含むと間口4メートル以上、奥行8メートル以上ですが、走行装置や制動装置などだけなら間口2.8メートル以上、奥行6.5メートル以上です。入庫の多い作業から認証を取り、物件や人がそろってから範囲を広げる進め方なら、初期投資を抑えて始められます。認証の追加は事前の申請で行えると近畿運輸局の資料も案内しています。また、国土交通省の特定整備制度概要は、認証工場から認証工場への外注ができることも示しています。条件の全体は認証工場とはと認証工場の取得方法と流れ、独立の進め方は整備士が独立・開業する方法で確認できます。

まとめ

分解整備とは、施行規則第3条第1号から第7号に列挙された原動機、動力伝達装置、走行装置、かじ取り装置、制動装置、緩衝装置、連結装置の部品を取り外して行う整備や改造です。ストラット、コイルばね、トーションバースプリングなど括弧書きで除かれた部品や、灯火装置のような対象外の装置もあります。前方カメラ付きのガラスやバンパの脱着は分解整備でなく電子制御装置整備で、別の認証が要ります。分解整備を事業として無認証で行えば50万円以下の罰金です。独立する整備士がやることは、受けたい作業を書き出し、第3条の部品を外すものに印を付け、その範囲で認証を取る、という3段階です。判断に迷う作業は、受ける前に管轄の運輸支局に確認してください。

分解整備の定義に関するよくある質問

分解整備と特定整備は何が違うのですか?
特定整備は、分解整備(施行規則第3条第1号から第7号)と電子制御装置整備(第8号と第9号)をまとめた呼び方です。国土交通省の問答集の問1も、特定整備とは従来の分解整備と電子制御装置整備を総称した整備又は改造だと説明しています。分解整備の範囲そのものは2020年4月1日の制度開始前と変わっていません。
ブレーキパッドの交換は分解整備に当たりますか?
施行規則第3条第5号は、制動装置のマスタシリンダ、バルブ類、ホース、パイプ、倍力装置、ブレーキチャンバ、ブレーキドラム、ディスクブレーキのキャリパを取り外して行う整備を分解整備としています。作業の中でこれらの部品を取り外すかどうかで判断が分かれるため、車種や作業手順ごとに迷う場合は管轄の運輸支局に確認してください。
コイルスプリングやショックアブソーバの交換は分解整備ですか?
第6号は緩衝装置のシャシばねを取り外して行う整備を対象にしていますが、括弧書きでコイルばねとトーションバースプリングを除いています。また第3号は前輪独立懸架装置からストラットを除いています。ただし同じ作業の中でブレーキキャリパやドライブシャフトなど他号の部品を取り外せば、そちらで分解整備に当たります。
自分の車を自分で分解整備するのにも認証が必要ですか?
認証が必要なのは自動車特定整備事業を経営しようとする者です(道路運送車両法第78条)。自分の車の整備は事業の経営に当たりません。ただし法第49条第2項により、使用者が特定整備をしたときは点検整備記録簿に整備の概要などを記載する義務があります。
無認証で分解整備を請け負うとどうなりますか?
認証を受けないで自動車特定整備事業を経営した者は、道路運送車両法第109条第11号により50万円以下の罰金の対象です。認証で限定された業務の範囲を超えた場合も同条第12号で同じ罰則があり、法人の従業者が違反したときは第111条により法人にも罰金刑が科されます。
独立した整備工場で、顧客・車両・整備記録の管理はどうすればよいですか?
販売する車の仕入れ値・整備費・売値、顧客の情報、注文書や保証書を1か所で扱えるのが車両販売システム(車販ソフト)です。整備も行う場合は自動車整備システム(自動車整備ソフト)とデータがつながるかを確認します。整備システム 比較や整備ソフト おすすめの情報を見るときは、整備ソフト 安いかどうかだけでなく、整備システム リースなしで始められるか、開業時の台数に合うかも確かめてください。

出典

この記事は次の一次情報をもとに作成しています(2026年10月4日確認)。

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