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車検の料金設定と基本料金の決め方|法定費用、整備料金、代行手数料の分け方と見積の出し方

公開日:2026年10月17日

車検の料金設定と基本料金の決め方 法定費用と整備料金、代行手数料の分け方と見積の出し方

独立した整備工場にとって、車検は毎年決まった時期に入庫が見込める大切な仕事です。その一方で、客が比べるのは車検の総額なので、料金の組み立て方を誤ると、法定費用の高い車ほど安く見えたり、整備の手間に見合わない基本料金になったりします。この記事では、整備工場の側から見た車検の料金設定を整理します。日整連が示している料金項目に沿って、法定費用と整備料金と検査代行手数料の分け方、基本料金に含める作業、日整連の料金実態調査(平成27年度)で確認できた項目別の平均、道路運送車両法施行規則が求める料金の掲示と概算見積りの出し方をまとめました。自動車重量税、自賠責保険料、検査手数料の金額は改定が多いため、この記事には書いていません。最新の額は国土交通省や運輸支局、保険会社の案内で確認してください。

この記事で確認した一次情報

車検の料金の内訳と法定費用の分け方

車検の料金は、国や保険会社に納める法定費用と、整備工場が自分で金額を決める点検整備料金と手続きの料金の3つに分けて組み立てます。日整連のユーザー向けの説明では、車検時には点検整備料金のほかに税金等の諸費用が必要になるとして、自動車重量税、自賠責保険料、検査手数料の3つを挙げています。これらは工場が値付けできない費用で、工場の利益にもなりません。工場が決めるのは、基本点検技術料、整備技術料、部品・油脂代、保安確認検査料、故障診断料と、運輸支局等で車検証の更新手続きを代わりに行う検査代行手数料です。料金表やチラシで「車検○円」と総額だけを出すと、法定費用が車ごとに違うため、実際の請求額と大きくずれます。法定費用は「別途、車種や年式により異なります」と分けて書き、工場が決める部分だけを料金表に載せると、客にも説明しやすくなります。

区分日整連の料金項目金額を決めるのは
法定費用(諸費用)自動車重量税、自賠責保険料、検査手数料国、保険会社。工場は預かって納める
点検整備料金基本点検技術料、整備技術料、部品・油脂代、保安確認検査料、故障診断料工場
手続きの料金検査代行手数料工場
依頼による作業エンジン・下廻り洗浄料、下廻り塗装料工場(客の依頼があった場合)

エンジンや下廻りの洗浄、下廻りの塗装は、日整連の平成27年度料金実態調査で「お客様依頼事項」として、点検整備料金の小計とは別に集計されています。料金表でも任意の作業として分けておくと、総額の内訳が伝わりやすくなります。

車検の基本料金に含める作業

車検の基本料金とは、どの車でも必ず行う点検と検査に対する料金のことで、日整連の料金項目では基本点検技術料と保安確認検査料に当たります。日整連の説明では、基本点検技術料は国が定める定期点検項目を点検し、車の状態を確かめるための料金で、ステアリング装置、ブレーキ装置、走行装置、サスペンション、動力伝達装置、排出ガスの発散防止装置、エンジンなどの点検に加えて、スキャンツールで各コンピュータシステムに異常がないかを確かめるOBD点検も挙げられています。保安確認検査料は、平成27年度調査の定義で、各種検査機器による検査、目視等による検査と、同一性や車体表示等の確認のための料金です。点検の結果見つかった不具合の修理や部品交換は、基本料金に入れず、整備技術料と部品・油脂代として別に見積もります。基本料金に何を含め、何を含めないかを料金表に書いておくと、追加の整備を勧めるときに説明の根拠になります。

基本料金に含める基本料金に含めず別に見積もる
定期点検項目の点検(基本点検技術料)点検で見つかった不具合の整備(整備技術料)
OBD点検(スキャンツールによる確認)交換した部品とオイル類(部品・油脂代)
検査機器と目視による検査、同一性の確認(保安確認検査料)故障の原因を調べる作業(故障診断料)

基本料金は、点検にかかる標準の時間に自社の工賃単価を掛けて決めます。工賃単価の出し方は整備工場の工賃の決め方とレバーレートで扱っています。日整連の料金実態調査も軽自動車と排気量の区分ごとに集計しているように、車の大きさで点検の手間は変わるので、車種区分ごとに基本料金を分けておくと実際の作業時間に合わせやすくなります。

車検の料金の項目別平均(日整連の平成27年度調査)

日整連の「平成27年度国産自動車点検・整備料金実態調査」は、全国で実際に取引された一般的な車検時の点検整備料金を、車検61,097台分について項目ごとに集計した調査です。調査期間は平成27年7月から9月で、走行距離が特に多い車両や、オーバーホール、板金塗装を行った車両は対象外とされています。自家用乗用車の基本点検技術料の平均は、軽自動車で14,599円、1.0〜1.5リットルで16,919円、1.5〜2.0リットルで18,487円でした。検査代行手数料の平均は、乗用車の区分では8,437円から8,613円の範囲に収まっています。ただし、この調査は11年前のものです。日整連は、調査結果の変動が小さいことを理由に、以後は点検基準の改正など料金に影響する変更があったときに臨時に行う方針に切り替えており、この平成27年度調査が最新です。同じ日整連の令和7年度実態調査では技術料(工賃)の対前年増減率が5.8%とされており、現在の料金はこの表より上がっていると考えるのが自然です。

項目(平成27年度・平均)軽自動車1.0〜1.5L1.5〜2.0L2.0〜2.5L2.5L〜
基本点検技術料14,599円16,919円18,487円19,918円21,222円
整備技術料9,410円9,949円11,679円12,189円14,326円
部品、油脂代13,182円15,068円18,427円19,544円22,520円
保安確認検査料6,911円7,388円7,532円7,642円7,487円
検査代行手数料8,437円8,532円8,455円8,613円8,487円

表の金額には法定費用(自動車重量税、自賠責保険料、検査手数料)は含まれていません。出典は日本自動車整備振興会連合会「平成27年度国産自動車点検・整備料金実態調査」の自家用乗用車の区分です。11年前の調査なので、自社の料金を決める根拠にはせず、項目の分け方と比率の参考として使ってください。

車検の代行手数料の決め方

車検の代行手数料とは、日整連の説明で、お客様に代わって運輸支局等に出向き、車検証(自動車検査証)の更新手続きを行うための料金とされているものです。手続きでは、自動車検査証、点検整備記録簿、継続検査申請書、自動車損害賠償責任保険証明書、自動車重量税納付書などの書類を扱い、指定工場では保安基準適合証も加わります。平成27年度の日整連調査では、乗用車の検査代行手数料の平均は8,000円台で、車の大きさによる差がほとんどありませんでした。代行手数料を決めるときは、検査場までの移動と待ち時間、書類の作成と確認、OSS(ワンストップサービス)による電子申請を使う場合の入力の手間を、自社の工賃単価で時間に置き換えて考えます。認証工場で車を検査場へ持ち込む場合は、整備士が工場を離れる時間がそのまま費用になります。

  • 検査場までの往復と、検査の待ち時間を実績で測る。
  • 書類の作成と確認にかかる時間を、受付担当と整備士の分に分けて測る。
  • 1日に何台まとめて検査場へ持ち込めるかで、1台あたりの時間を出す。
  • 電子申請を使う場合の入力時間も、同じように1台あたりで出す。

指定工場になると、自社の検査員が検査をして保安基準適合証を交付できるため、検査場への持込みが要らなくなり、代行の手間と料金の考え方が変わります。指定工場の得失は指定工場のメリット・デメリット、制度の違いは認証工場と指定工場の違いで確認できます。

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車検の見積の出し方と概算見積書

車検の見積は、点検の前に概算を書面で渡し、点検で見つかった整備を説明してから追加の作業に入る、という順番で出します。道路運送車両法施行規則第62条の2の2第2号は、点検や整備の作業を行う事業場に、依頼者に対して必要と認められる整備の内容とその必要性を説明し、料金の概算見積りを記載した書面を交付するか、電磁的記録で提供するよう求めています。同条第3号は、行っていない点検や整備の料金を請求すること、依頼されない点検や整備を不当に行ってその料金を請求することを禁じています。国の行政処分等の基準(令和2年4月改正版の写し)では、整備内容と必要性を説明していない場合と、概算見積書を交付していない場合に、それぞれ3点の違反点数が示されています。車検の追加整備は金額が大きくなりやすく、説明のないまま作業を進めると、法令違反とトラブルの両方につながります。

  1. 受付で、基本料金と法定費用の概算、依頼された作業の見積を書面で渡す。
  2. 点検の結果、保安基準に適合しない箇所と、そのおそれがある箇所を分けて記録する。
  3. 必要な整備の内容と理由、整備技術料と部品代を、写真や交換前の部品と一緒に説明する。
  4. 客の承諾を得た作業だけを行い、承諾の日時と内容を記録する。
  5. 請求書の作業と、点検整備記録簿の内容を突き合わせてから渡す。

日整連の料金説明でも、整備技術料は、定期点検の結果、車が保安基準に適合しない、又は適合しなくなるおそれがある場合に当該箇所を整備するための料金と、客から依頼された整備を実施するための料金に分けて説明されています。見積でもこの2つを分けて書くと、客は「必ず要る整備」と「勧められた整備」を区別して判断できます。

車検の料金表を掲示するときの注意点

車検の料金表は、道路運送車両法施行規則第62条の2の2第1号により、事業場で依頼者に見やすいように掲示することが求められています。自動車特定整備事業に常時使用する従業員が5人を超え、自ら管理するウェブサイトがある場合は、ウェブサイトにも掲載します。行政処分等の基準の写しでは、料金表を掲示しない、又は内容が不適切な場合は3点、見やすい位置に掲示していない場合は1点とされています。車検の料金表を作るときは、車種区分ごとの基本料金、検査代行手数料、主な整備作業の工賃、法定費用は別途であることの4つを載せると、掲示の義務と客への説明を同時に満たせます。料金を改定したときは、掲示とウェブサイトを同じ日に差し替えます。値引きのキャンペーンをするときは、通常の料金と値引きの条件を並べて書き、どの料金から引いたのかが分かるようにしておくと、後で問合せがあっても説明できます。

  • 車種区分(軽自動車、普通車の区分)ごとの基本料金を載せた。
  • 基本料金に含む作業と含まない作業を書いた。
  • 検査代行手数料を、基本料金とは別の行で載せた。
  • 法定費用は別途で、車種や年式によって異なることを書いた。
  • 料金表の改定日を入れ、掲示とウェブサイトの内容をそろえた。

車検の利益が工場全体の中でどれだけを占めるかは整備工場の利益率と粗利の考え方、車検の客を増やす方法は整備工場の集客方法にまとめています。

まとめ

車検の料金は、国や保険会社に納める法定費用(自動車重量税、自賠責保険料、検査手数料)と、工場が決める点検整備料金、検査代行手数料に分けて組み立てます。基本料金は、日整連の料金項目でいう基本点検技術料と保安確認検査料に当たり、定期点検項目の点検とOBD点検、検査機器と目視による検査を含めます。点検で見つかった整備は整備技術料と部品代として別に見積もります。日整連の平成27年度調査では、乗用車の検査代行手数料の平均は8,000円台でしたが、11年前の数字なので参考にとどめます。料金表は事業場に掲示し、作業の前に整備の内容と必要性を説明して概算見積りを書面で渡すことが、道路運送車両法施行規則で求められています。法定費用の金額は、見積を出すたびに国土交通省や運輸支局、保険会社の最新の案内で確かめてください。

車検の料金設定と基本料金に関するよくある質問

車検の基本料金には何を含めればよいですか?
日整連の料金項目では、基本点検技術料(国が定める定期点検項目の点検。OBD点検を含む)と保安確認検査料(検査機器や目視による検査、同一性の確認)が、どの車でも必ず行う作業に当たります。点検で見つかった不具合の整備や部品交換は、整備技術料と部品・油脂代として別に見積もります。
車検の代行手数料の相場はいくらですか?
日整連の平成27年度国産自動車点検・整備料金実態調査では、自家用乗用車の検査代行手数料の平均は8,437円から8,613円でした。ただし11年前の調査で、日整連はこれ以降この調査を臨時に行う方針に切り替えています。現在の相場は、近くの工場が掲示している料金表で確かめてください。
車検の料金表に法定費用を含めて書いてもよいですか?
法定費用は車種や年式、改定の時期によって変わるため、総額で書くと実際の請求とずれやすくなります。工場が決める基本料金と代行手数料を載せ、法定費用は別途と書いて、見積のときに最新の額で計算する方法が説明しやすい形です。
車検の見積は書面で渡す必要がありますか?
道路運送車両法施行規則第62条の2の2第2号は、必要と認められる整備の内容と必要性を説明し、料金の概算見積りを記載した書面を交付するか、電磁的記録で提供するよう定めています。行政処分等の基準の写しでは、概算見積書を交付しない場合に3点の違反点数が示されています。
車検の見積と請求を手早く正確に出すにはどうすればよいですか?
車種区分ごとの基本料金や工賃を登録しておき、見積書、請求書、点検整備記録簿を同じデータから作れるのが自動車整備システム(自動車整備ソフト)です。車検の客に車の買い替えを勧めることがあるなら、車両販売システム(車販ソフト)と顧客の情報を共有できるかも確かめます。整備システム 比較や整備ソフト おすすめの情報を見るときは、整備ソフト 安いかどうかとあわせて、整備システム リースなしで導入でき、小さな工場の台数に合うかを判断してください。

出典

この記事は次の一次情報をもとに作成しています(2026年10月17日確認)。

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