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自動車整備士1級と2級の違い|整備主任者・受験資格と独立開業に必要な級

公開日:2026年10月4日

自動車整備士1級と2級の違い 独立開業に要る級を整備主任者と検査員の要件から確認

「いつかは自分の工場を持ちたい」と考え始めた整備士が最初に気にするのが、「今の2級で独立できるのか、1級まで取るべきか」です。この記事では、自動車整備士1級と2級の違いを、整備主任者や自動車検査員になれる条件、受験資格、試験の合格率に分けて整理します。独立開業に要る級を整備主任者と検査員の要件から確認し、独立を考える整備士が今どの資格で何を準備すればよいかを、道路運送車両法施行規則、自動車整備士技能検定規則、指定自動車整備事業規則と、国土交通省、日本自動車整備振興会連合会(日整連)の資料をもとに示します。

この記事で確認した一次情報

自動車整備士1級と2級の違い(国の位置づけ)

自動車整備士1級と2級の違いは、まず求められる技能の水準にあります。国土交通省の整理では、2級に求めるのは自動車の一般的な整備の技能で、1級はそれより高度な整備ができる水準です。日整連の一級自動車整備士Q&Aは、1級を各種の整備用診断機器を使って応用的な故障探求ができる水準の資格と位置づけ、二級の知識と技能に加えて、新技術の故障診断手法、使用実態や使用環境を踏まえた故障診断と整備計画の作成、整備の品質管理、環境保全と安全管理などを求めています。種類も異なり、2級はガソリン、ジーゼル、シャシ、二輪の4種類、1級は大型、小型、二輪の3種類です。日整連の同じQ&Aによると、1級大型と1級二輪の試験は現在行われていません。乗用車中心の工場を開く整備士にとって、現実の選択肢は2級と1級小型の2つになります。

区分1級自動車整備士2級自動車整備士
国の位置づけ2級より高度な自動車の整備ができること自動車の一般的な整備ができること
種類1級大型、1級小型、1級二輪(大型と二輪の試験は現在実施されていない)2級ガソリン、2級ジーゼル、2級自動車シャシ、2級二輪

1級と2級でできる作業と就ける役割

1級と2級でできる作業の違いは、作業そのものより、認証工場で任される役割に表れます。道路運送車両法施行規則第62条の2の2は、事業場ごとに特定整備と特定整備記録簿の記載を統括管理する「整備主任者」を置くよう定め、分解整備を行う事業場では1級又は2級の合格者を要件にしています。ここで1級と2級は同じ扱いです。差が出るのは電子制御装置整備で、この整備を行う事業場の整備主任者は、1級(1級二輪を除く)の合格者か、2級などの合格者で運輸支局長が行う講習を修了した人に限られます。国土交通省は、一級小型自動車整備士の有資格者はこの講習が免除されると案内しています。指定工場の自動車検査員では、整備主任者としての実務経験が2級なら1年以上、1級なら6月以上と、必要な期間が短くなります(指定自動車整備事業規則第4条)。独立後に電子制御装置整備や指定工場まで見据えるなら、1級は段取りを短くしてくれる資格です。

役割・場面1級(小型)2級根拠
分解整備の整備主任者なれるなれる(原動機の分解整備を行う場合、2級シャシのみは不可)施行規則第57条、第62条の2の2
電子制御装置整備の整備主任者なれる(講習免除)講習を修了すればなれる施行規則第62条の2の2、国土交通省 特定整備ページ
自動車検査員(指定工場)整備主任者として6月以上の実務経験+教習修了整備主任者として1年以上の実務経験+教習修了(2級シャシのみは不可)指定自動車整備事業規則第4条
スキャンツール補助金(令和8年度)在籍していれば優先採択の対象優先採択の要件には当たらない事務局「申請受付終了時の取扱い」

認証工場の人員基準も確認しておきます。施行規則第57条は、事業場に特定整備に従事する従業員を2人以上置き、1級又は2級の合格者を少なくとも1人含め、1級から3級の合格者の数を従業員数の4分の1以上にするよう定めています(分解整備を行う事業場の場合)。1人で独立する場合でも、認証を受けるにはもう1人の従業員が必要になる点は、開業計画の早い段階で押さえておきたい条件です。整備主任者の届出と研修は整備主任者になるには、検査員の教習は自動車検査員になるにはで詳しく扱っています。

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1級と2級の受験資格と取得ルート

1級と2級の受験資格は、自動車整備士技能検定規則第17条と第18条に定められています。2級(ガソリン、ジーゼル、二輪)は、実務経験だけで目指す場合、3級に合格した日から2年以上の整備の実務経験で受験できます。高校の機械、電気、電子に関する学科の卒業者などは、3級合格後1年4月以上に短縮されます。一種養成施設の2級課程を修了すれば、実務経験なしで受験資格を得られます。1級は、2級(2級シャシを除く)に合格した日から3年以上の実務経験、又は2級合格者が一種養成施設の1級課程を修了することが条件です。日整連によると、一種養成施設の2級課程と1級課程は教育時間1,800時間、養成期間2年以上です。勤務しながら1級を目指す人には、各都道府県の自動車整備振興会の技術講習所(二種養成施設)があり、1級課程は135時間以上(実行170時間程度)で1年を超えない範囲とされています。

級主な受験資格(実務経験で目指す場合)養成施設を使う場合
2級(ガソリン、ジーゼル、二輪)3級合格後2年以上の実務経験一種養成施設2級課程の修了で受験資格。修了後2年以内は実技試験免除
1級2級(シャシを除く)合格後3年以上の実務経験2級合格者が一種養成施設1級課程を修了。二種養成施設(振興会技術講習所)の課程修了で実技試験免除(修了後2年以内)

国の技能検定を受けるときの受験手数料は、国土交通省の案内で、整備士の種類1件につき7,200円(学科試験と実技試験の全部が免除される人は2,450円)です。日整連が行う自動車整備技能登録試験に合格すると、対応する国の検定試験が免除されます。登録試験を経て国の資格を取得するルートも選べます。

1級と2級の試験の難しさ(登録試験の合格率)

1級と2級の試験の難しさを数字で見ると、日整連が公表している自動車整備技能登録試験の学科の合格率に差があります。令和7年度第2回(令和8年3月22日実施)の結果では、1級小型(筆記)の受験者3,756人のうち合格者は1,878人で、合格率は50.0%でした(前年同期は65.7%)。同じ回の2級ガソリンは受験者11,197人、合格者10,298人で合格率92.0%、2級ジーゼルは94.9%です。令和7年度第1回(令和7年10月5日実施)の2級ガソリンは61.9%で、回によって受験者の構成が違うため、合格率も大きく動きます。1級は筆記に合格した後、口述試験と実技試験が続く点も2級と異なります。日整連の試験結果ページによると、令和7年度第2回の1級小型は口述が令和8年5月10日、実技が令和8年8月23日に行われました。筆記から実技まで半年近くかかる日程は、独立準備と並行して1級を目指す人が計画に入れておきたい要素です。

登録試験(学科)受験者数合格者数合格率
1級小型(筆記) 令和7年度第2回3,756人1,878人50.0%
2級ガソリン 令和7年度第2回11,197人10,298人92.0%
2級ジーゼル 令和7年度第2回7,845人7,442人94.9%
2級ガソリン 令和7年度第1回2,581人1,597人61.9%

上の数字は日整連の登録試験の学科試験の結果です。国が行う技能検定や、口述試験、実技試験の合格率ではありません。

独立して整備工場を開くのに必要な級

独立して認証工場を開くのに必要な級は、2級です。分解整備の認証では整備主任者を1級又は2級の合格者から選べるため、2級ガソリンか2級ジーゼルを持っていれば、自分が整備主任者として届け出られます(原動機の分解整備を行う場合、2級自動車シャシ整備士だけでは要件を満たしません)。電子制御装置整備も認証に含める場合、2級の人は運輸支局長が行う資格取得講習を修了すれば整備主任者になれます。1級は開業の必須条件にはなっておらず、取れば講習の免除、検査員の実務経験期間の短縮、スキャンツール補助金の優先採択といった形で効いてきます。2級を持つ整備士なら、資格面ではすでに独立の入口に立っています。開業までに詰めるべきなのは、作業場と工具、2人以上の従業員、整備主任者の届出といった工場側の条件のほうです。

  • 2級ガソリン又は2級ジーゼルがあれば、分解整備の整備主任者として届け出られる。
  • 電子制御装置整備も行うなら、2級の人は講習を修了する(1級小型は免除)。
  • 認証には特定整備に従事する従業員が2人以上必要で、1級から3級の合格者を従業員数の4分の1以上置く。
  • 整備主任者を届け出た年度から、運輸支局長等が行う研修の受講が毎年度必要になる。

認証工場とは何かの全体像は認証工場とは、独立までの手順の全体は整備士が独立・開業する方法にまとめています。

1級を取る時期と独立のタイミング

1級を取る時期は、独立前の勤務中に取るか、開業後に取るかの2通りが考えられます。日整連の一級自動車整備士Q&Aによると、二種養成施設(整備振興会技術講習所)の講習費用の助成制度は各都道府県が主管し、全国の整備振興会の約半分が活用しています。給付金の対象は雇用保険の加入者に限られます。勤務先で雇用保険に入っている間に講習を受ければ、地域によっては助成の対象になり得るということです。1級の受験には2級合格後3年以上の実務経験が必要なので、2級を取ってからの年数も確認しておきます。一方、開業準備と1級の講習、筆記、口述、実技を同時に進めると負担が重くなります。2級で開業して経営を軌道に乗せ、電子制御装置整備の広がりや指定工場化を考える段階で1級を取る、という順番も十分に現実的です。

日整連は、国家一級整備士を対象にした「自動車整備技術コンサルタント」、国家二級整備士を対象にした「自動車整備技術スーパーアドバイザー」という認定資格制度も設けています(平成16年創設)。独立後にお客様への説明力や診断力を対外的に示したい場合の選択肢の一つです。

まとめ

自動車整備士1級と2級の違いは、国の位置づけでは整備技能の水準にあり、実務では電子制御装置整備の整備主任者になるための講習の要否と、自動車検査員になるための実務経験の長さに表れます。分解整備の整備主任者は1級でも2級でもなれるため、独立して認証工場を開くのに必要な級は2級です。2級を持っている整備士は、資格の面ではすでに独立の条件を満たしており、次に準備するのは作業場、工具、2人以上の従業員、整備主任者の届出です。1級は、電子制御装置整備や指定工場を見据えたときに段取りを短くしてくれる資格なので、雇用保険に加入している勤務中に講習の助成を確認するか、開業後に経営が落ち着いてから目指すかを、自分の計画に合わせて選んでください。

自動車整備士1級と2級の違いに関するよくある質問

2級自動車整備士だけで整備工場を独立開業できますか?
分解整備の認証では、整備主任者を1級又は2級の合格者から選べるため、2級でも整備主任者になれます(道路運送車両法施行規則第62条の2の2)。ただし原動機の分解整備を行う事業場では、2級自動車シャシ整備士だけでは要件を満たしません。電子制御装置整備も行うなら、2級の人は運輸支局長の講習を修了する必要があります。
1級を持っていると開業で何が有利になりますか?
電子制御装置整備の整備主任者になるための講習が、一級小型自動車整備士は免除されます(国土交通省)。指定工場の自動車検査員になるための整備主任者としての実務経験も、2級なら1年以上のところ1級は6月以上です(指定自動車整備事業規則第4条)。令和8年度スキャンツール補助金では、1級整備士の在籍が優先採択の要件になっています。
2級から1級を受けるには何年の実務経験が必要ですか?
自動車整備士技能検定規則第17条により、2級(2級自動車シャシ整備士を除く)に合格した日から3年以上の実務経験があれば1級を受験できます。2級合格者が一種養成施設の1級課程を修了した場合も受験資格が得られます。
1級の試験は2級とどう違いますか?
1級の学科試験は筆記と口述で行われ、筆記に合格した人が口述試験を受けます(自動車整備士技能検定規則第6条)。日整連の登録試験では、令和7年度第2回の1級小型(筆記)の合格率は50.0%で、同じ回の2級ガソリンの学科は92.0%でした。
1級整備士を目指す講習に助成はありますか?
日整連によると、二種養成施設の講習費用の助成制度は各都道府県が主管し、全国の整備振興会の約半分が活用しています。給付金の対象は雇用保険の加入者に限られます。講習費用は地域で異なるため、各自動車整備振興会に問い合わせてください。
独立した整備工場で、顧客・車両・整備記録の管理はどうすればよいですか?
販売する車の仕入れ値・整備費・売値、顧客の情報、注文書や保証書を1か所で扱えるのが車両販売システム(車販ソフト)です。整備も行う場合は自動車整備システム(自動車整備ソフト)とデータがつながるかを確認します。整備システム 比較や整備ソフト おすすめの情報を見るときは、整備ソフト 安いかどうかだけでなく、整備システム リースなしで始められるか、開業時の台数に合うかも確かめてください。

出典

この記事は次の一次情報をもとに作成しています(2026年10月4日確認)。

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