整備主任者講習(研修)とは|法令研修・技術研修の受講義務と受けない場合、申込方法

整備主任者講習、整備主任者研修と呼ばれているものは、法令上は「運輸監理部長又は運輸支局長が行う研修」のことで、認証工場(自動車特定整備事業者)は選任している整備主任者に毎年度これを受けさせる義務があります。根拠は道路運送車両法施行規則第62条の2の2第1項第8号です。研修には全員が受ける法令研修と、事業場ごとに1名以上が受ける技術研修があり、受けないままにすると行政処分の違反点数が付きます。この記事では、研修の種類と受講義務、時間と受講料の例、受けない場合の扱い、申込方法を、運輸局の公示と処分基準で確かめた内容だけで整理しました。整備主任者になる要件は整備主任者になるには、選任届の書き方は整備主任者選任届の書き方と提出先で扱っているので、ここでは研修に絞ります。
この記事で確認した一次情報
- 道路運送車両法施行規則(e-Gov法令検索)第62条の2の2第1項第7号・第8号(整備主任者と研修の義務)
- 令和8年度 整備主任者法令研修資料「整備業務関係について」(近畿運輸局)1年に1度受講が必要な研修と受講義務者、オンライン研修の解禁
- 自動車整備事業者に対する行政処分等の基準(九州運輸局、令和8年4月1日改正)整備主任者研修の未受講の違反点数、口頭注意・文書警告・事業停止の区分
- 令和8年度整備主任者の技術研修実施について(和歌山運輸支局 公示)技術研修の対象者、時間、受講料、申込方法
整備主任者講習と整備主任者研修の呼び方の違い
「整備主任者講習」と「整備主任者研修」は、検索ではほぼ同じ意味で使われていますが、法令の言葉では別のものを指します。毎年度受ける義務があるのは、施行規則第62条の2の2第1項第8号の「運輸監理部長又は運輸支局長が行う研修」で、これが整備主任者研修です。一方で「講習」という言葉が法令に出てくるのは、電子制御装置整備を行う認証工場で整備主任者になるために、二級整備士などが受ける「電子制御装置整備に必要な知識及び技能について運輸監理部長若しくは運輸支局長が行う講習」です(同項第7号ロ・ハ)。前者は整備主任者でいる限り毎年度続くもの、後者は整備主任者に選ばれる前に一度修了しておくものです。近畿運輸局の令和8年度法令研修資料も、この2つを「1年に1度受講が必要な研修」と「整備主任者の選任に必要な研修」に分けて案内しています。自分が探しているのがどちらかを、まず確かめてください。案内文の題が「講習」でも「研修」でも、根拠の条文を見ればどちらの話かが分かります。
| 呼び名 | 法令の根拠 | 受ける時期 | 対象 |
|---|---|---|---|
| 整備主任者研修(法令研修・技術研修) | 施行規則第62条の2の2第1項第8号 | 選任後、毎年度 | 選任されている整備主任者 |
| 電子制御装置整備の整備主任者資格取得講習 | 施行規則第62条の2の2第1項第7号ロ・ハ | 選任の前に一度 | 電子制御装置整備を行う事業場で整備主任者になる二級整備士など(一級整備士は不要) |
| 自動車検査員研修 | 指定自動車整備事業規則第14条 | 選任後、毎年度 | 指定工場で選任されている自動車検査員 |
電子制御装置整備の講習と設備の要件は、特定整備の認証の取り方で説明しています。
整備主任者研修の種類と受講義務(法令研修・技術研修)
整備主任者研修には法令研修と技術研修の2種類があり、どちらも1年に1度の受講が求められます。近畿運輸局の令和8年度法令研修資料では、法令研修の受講義務者を「選任されている整備主任者全員」、技術研修を「選任されている整備主任者のうち事業場毎に1名以上」としています。整備主任者を2人置いている工場なら、法令研修は2人とも、技術研修はどちらか1人以上が受ければ足ります。1人の整備主任者で回している小さな工場は、その1人が両方を受けます。施行規則の条文は、研修を受けさせる相手として「整備主任者として新たに届け出た者」と「最後に当該研修を受けた日の属する年度の末日を経過した者」を挙げています。つまり、新しく選任した人はその年度のうちに、すでに受けた人は年度が変わるたびに受け直す仕組みです。指定工場で自動車検査員に選任されている人が同じ年度の自動車検査員研修を受けた場合は、法令研修を受けた者として扱われます(徳島運輸支局の令和8年度案内)。
| 研修 | 受講義務者(令和8年度資料) | 内容の例 |
|---|---|---|
| 整備主任者(法令)研修 | 選任されている整備主任者全員(同年度に自動車検査員研修を受けた者を除く) | 関係法令と主要通達の改正、整備の出来栄え、工場管理 |
| 整備主任者技術研修 | 選任されている整備主任者のうち事業場ごとに1名以上 | 新しい技術の学科と実習(小型車、二輪車、大型車などの区分あり) |
| 自動車検査員研修 | 選任されている自動車検査員全員 | 検査に関する法令と通達、検査用機械器具の取扱い |
研修の実施事項は、国土交通省の依命通達「自動車整備事業の取扱い及び指導要領について」(令和2年4月1日付け国自整第353号、最終改正 令和7年7月8日付け国自整第77号)で、自動車の構造と整備の方法、検査方法、整備検査用機械器具の取扱方法、法令と通達の4つが定められています。
整備主任者研修の時間と受講料の例
整備主任者研修の日程、時間、受講料は運輸支局ごとに決まり、毎年度、運輸支局が公示や案内文で知らせます。令和8年度の例を挙げると、京都運輸支局の法令研修は13時00分から15時00分までの時間割で、検査関係業務、軽自動車関係業務、整備関係業務の講義と質疑応答で構成されています。徳島運輸支局の法令研修は11月5日から11月30日にかけて、事業場の所在地と認証番号の末尾で会場と日時が割り振られています。技術研修は1日がかりで、和歌山運輸支局の公示では9月25日(小型車)と11月25日(二輪車)の10時00分から17時00分、振興会の会員外の受講料は4,400円、教材料は学科用1,400円と実習用1,500円です。岩手運輸支局の案内では9月18日の午前10時から約6時間、研修費用は資料代込みで11,700円となっています。会員と会員外で受講料が違う地域もあるため、金額は管轄の案内で確かめてください。
令和7年には通達が見直され、整備主任者研修と自動車検査員研修のうち座学はオンライン方式でもよいことになりました(近畿運輸局 令和8年度法令研修資料)。実際にオンラインで受けられるかは地域の実施方法によるので、案内文に配信形式の記載があるかを見てください。
整備主任者講習を受けないとどうなるか
整備主任者研修を受けさせないことは、道路運送車両法第91条の3にもとづく遵守事項(施行規則第62条の2の2第1項第8号)の違反です。九州運輸局の「自動車整備事業者に対する行政処分等の基準」(令和8年4月1日改正)では、「整備主任者研修の未受講」の違反点数は3点です。認証事業者の場合、事業場の違反点数の合計が1点から5点で、設備や従業員に関する違反がなければ口頭注意、それ以外で6点から9点なら文書警告、10点以上になると事業の停止命令の対象になり、10点から19点で停止は10日間です。研修の未受講だけなら口頭注意の範囲ですが、監査では他の項目も同時に見られるため、料金表の掲示漏れ(5点)や特定整備記録簿の不備が重なると、合計点数は簡単に上がります。過去1年以内に行政処分等を受けている事業場は、合計点数が2倍で計算されます。法律の上では、遵守事項を守っていない事業者に対して地方運輸局長は改善命令を出せ(法第92条)、法令違反には3か月以内の事業停止か認証の取消しができる(法第93条)と定められています。
| 認証事業者の違反点数の合計 | 扱い(九州運輸局の基準) |
|---|---|
| 1点~5点(設備・従業員の違反がない場合) | 口頭注意 |
| 1点~5点(上記以外)、6点~9点 | 九州運輸局長による文書警告 |
| 10点~19点 | 違反事業場の事業停止10日間 |
| 180点以上 | 違反事業場の認証の取消し |
研修を受けていないことは、監査に入る理由にもなります。関東運輸局の平成29年度法令研修教材は、平成28年度に管内で立入検査をした920事業場の選定理由の一つに「整備主任者の定期研修を受講していない工場」を挙げています。また、徳島運輸支局の令和8年度案内では、法令研修を受けていない人は同年度第2回の自動車検査員教習に申し込めないとしています。指定工場をめざす人にとっては、研修を受けておくことが次の段階の条件にもなります。
違反点数の表は地方運輸局ごとに公示されています。この記事の点数は九州運輸局の基準(令和8年4月1日改正)で確認したものです。実際の判断は管轄の運輸局が行います。
整備主任者研修の申込方法と当日の持ち物
整備主任者研修の申込先は、多くの地域で都道府県の自動車整備振興会です。研修を行うのは運輸支局長ですが、受付と会場の運営は振興会が受け持つ形が一般的で、案内文の問合せ先にも振興会の電話番号が載っています。大阪運輸支局の令和7年度の案内では、法令研修は振興会本部と分室で期間を決めて予約を受け付け(令和7年10月14日から11月7日まで)、申込書に認証番号、事業場名、受講者氏名を書き、受講料を添えて申し込む方式でした。振興会に入っていない事業場は、申込みの際に「会員外」であることを伝えます。技術研修は申込方法が別で、開催日の1週間前までに振興会の教育部門へ予約します。研修当日は、自動車整備士手帳(自動車整備技能者手帳)、筆記用具、受講料、研修教材を持参します。京都運輸支局の案内では、修了すると手帳に研修修了の旨が証明されます。受付で運転免許証などによる本人確認を行う会場もあります(徳島運輸支局)。
- 運輸支局のホームページか振興会からの案内で、その年度の日程と会場を確認する
- 指定の受付期間内に、振興会へ申込書を出す(認証番号、事業場名、受講者氏名)
- 技術研修は対象車種(小型車、二輪車、大型車)を選び、開催日の1週間前までに予約する
- 当日は整備士手帳、受講料、教材を持って受講し、手帳に修了の証明を受ける
振興会に入るかどうかで受講料や教材の受け取り方が変わる地域があります。入会の費用と使える支援は自動車整備振興会とはにまとめています。
独立開業した年の整備主任者研修の受け方
独立して認証工場を開いた年は、整備主任者研修の日程を開業準備の段取りに入れておく必要があります。施行規則は「整備主任者として新たに届け出た者」にも研修を受けさせることを求めており、選任届を出した年度のうちに研修を受ける扱いになります。整備主任者の選任と変更は、事業の開始の日や変更のあった日から15日以内に運輸支局へ届け出ます(施行規則第62条の2の2第2項)。研修は年に数回しか開かれず、徳島では11月、和歌山の技術研修は9月と11月というように、時期が地域ごとに決まっています。開業が研修の時期より後になると、その年度の研修がもう終わっていることもあるため、選任届を出す時点で運輸支局か振興会に、その年度の残りの日程と受け方を聞いておくと安心です。京都運輸支局の令和8年度要領は、近く整備主任者に選任を予定している整備士も法令研修の対象に含めています。また、整備主任者が1人の工場では、技術研修の日は朝から夕方まで工場を空けることになるので、予約を入れない日として先に決めておきます。
整備主任者に関するよくある質問
- 整備主任者研修は毎年受けなければいけませんか?
- はい。施行規則第62条の2の2第1項第8号は、最後に研修を受けた日の属する年度の末日を過ぎた整備主任者に研修を受けさせるよう定めているため、年度が変わるたびに受け直します。近畿運輸局の令和8年度資料でも「1年に1度受講が必要な研修」とされています。
- 整備主任者の技術研修は全員が受けるのですか?
- 技術研修は、選任されている整備主任者のうち事業場ごとに1名以上が対象です。法令研修は選任されている整備主任者全員が対象です。整備主任者が1人の工場では、その人が両方を受けます。
- 整備主任者講習を受けない場合、すぐに認証が取り消されますか?
- 研修の未受講だけで直ちに取り消されるわけではありません。九州運輸局の処分基準では未受講は3点で、合計1点から5点で設備や従業員の違反がなければ口頭注意です。ただし他の違反と合わせて10点以上になると事業停止の対象になり、過去の処分歴があれば点数は1.5倍か2倍で計算されます。
- 整備主任者研修はオンラインで受けられますか?
- 令和7年の通達の見直しで、整備主任者研修と自動車検査員研修のうち座学はオンライン方式でもよいことになりました。実技を含む技術研修は対面です。実際の実施方法は地域ごとに異なるため、管轄の運輸支局の案内で確認してください。
- 研修日や選任の記録はどう管理すればよいですか?
- 研修の修了は整備士手帳に証明されますが、工場としては整備主任者ごとの研修受講日、選任届の提出日、次に受ける年度を一覧にしておくと、監査のときに説明しやすくなります。顧客や車両の管理と合わせて工場の記録を一つにまとめるなら、自動車整備システム(自動車整備ソフト)を使う方法もあります。整備システム 比較をするときは、料金だけでなく、整備記録や見積書を工場の運営に合わせて残せるかも確かめてください。
出典
この記事は次の一次情報をもとに作成しています(2026年10月24日確認)。
- e-Gov法令検索 道路運送車両法施行規則(第57条、第62条の2の2):https://laws.e-gov.go.jp/law/326M50000800074
- e-Gov法令検索 道路運送車両法(第91条の3、第92条、第93条):https://laws.e-gov.go.jp/law/326AC0000000185
- 近畿運輸局 令和8年度 整備主任者法令研修資料「整備業務関係について」:https://wwwtb.mlit.go.jp/kinki/content/000380598.pdf
- 近畿運輸局 自動車整備事業の取扱い及び指導要領について(依命通達)(抜粋):https://wwwtb.mlit.go.jp/kinki/content/000380490.pdf
- 九州運輸局 自動車整備事業者に対する行政処分等の基準(令和8年4月1日改正):https://wwwtb.mlit.go.jp/kyushu/content/000372205.pdf
- 近畿運輸局京都運輸支局 令和8年度整備主任者(法令)、自動車検査員研修実施要領(令和8年9月3日):https://wwwtb.mlit.go.jp/kinki/kyoto-honchosya/jisshiyouryou.pdf
- 四国運輸局徳島運輸支局 令和8年度整備主任者研修(法令研修)の開催について:https://wwwtb.mlit.go.jp/shikoku/content/000380010.pdf
- 近畿運輸局和歌山運輸支局 令和8年度整備主任者の技術研修実施について(令和8年8月7日):https://wwwtb.mlit.go.jp/kinki/wakayama/202608-R8gijutsukenshu.pdf
- 東北運輸局岩手運輸支局 令和8年度整備主任者技術研修の実施について:https://wwwtb.mlit.go.jp/tohoku/it/new/it-se260810.pdf
- 近畿運輸局大阪運輸支局 令和7年度整備主任者研修及び自動車検査員研修:https://wwwtb.mlit.go.jp/kinki/osaka/ingaiannnai07.pdf
- 関東運輸局 平成29年度 整備主任者研修 法令研修【地域教材】:https://wwwtb.mlit.go.jp/kanto/content/000107161.pdf