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整備工場の工賃の決め方とレバーレート|工賃単価の出し方、作業時間の基準、料金表示のルール

公開日:2026年10月17日

整備工場の工賃の決め方とレバーレート 工賃単価の出し方と作業時間の基準、料金表示のルール

勤め先の工場では工賃表が最初から決まっていましたが、独立すると工賃は自分で決めることになります。周りの工場より安くすれば仕事は来ても利益が残らず、高くすれば説明できないと客が離れます。この記事では、整備工場の工賃の決め方を、工賃単価(レバーレート)と作業時間の掛け算として整理します。日整連の標準作業点数表や自研センターの指数がどういうものかを各団体の公表内容で確認し、自社のレバーレートを人件費や家賃などの費用と作業時間から逆算する手順、地域の相場の調べ方、料金を掲示して見積を出すときの省令のルールまでをまとめました。同業者と料金を申し合わせてはいけない理由も、公正取引委員会の指針で確認しています。

この記事で確認した一次情報

整備の工賃の決め方の基本

整備の工賃は、1時間あたりの工賃単価に、その作業にかかる標準の作業時間を掛けて決めるのが基本です。工賃単価は業界でレバーレートと呼ばれ、作業時間には自社の実績のほか、日整連の標準作業点数表や自研センターの指数のような外部の基準が使われています。この形にしておくと、同じ作業なら誰が見積もっても同じ金額になり、客に「なぜこの金額か」を説明できます。工賃を作業ごとに勘で決めていると、似た作業でも金額がばらつき、値上げのときにも根拠を示せません。日整連の料金説明では、定期点検の項目を点検する基本点検技術料と、点検で見つかった不具合や依頼された整備をする整備技術料が分けて示されています。基本点検技術料は車種区分ごとの定額、整備技術料はレバーレートと作業時間の掛け算、と分けて考えると工賃表が組み立てやすくなります。

決めるもの中身根拠にするもの
レバーレート(工賃単価)作業1時間あたりの技術料自社の費用と、売上につながる作業時間
作業時間作業ごとの標準の時間標準作業点数表、指数、自社の実績
工賃レバーレート×作業時間上の2つの掛け算

レバーレートとは何か

レバーレートとは、整備工場が作業1時間あたりに受け取る技術料の単価のことです。工賃単価、時間工賃とも呼ばれます。損害保険が関わる事故修理では「指数対応単価」という言葉も使われ、自研センターのQ&Aにも「指数対応単価をはじめ、レバーレート等の工賃」という表現があります。注意したいのは、作業時間の基準を作っている団体は単価を決めていないことです。損害保険の修理見積で使われる指数を作成している自研センターは、指数Q&Aで「指数は作業時間です」と説明し、工具類や消耗品、材料代は指数に含まないこと、また指数対応単価をはじめレバーレート等の工賃の設定や算定には関わっていないことを明記しています。単価はあくまで各工場が自分の費用から決めるもので、どこかに公式の正解があるわけではありません。

日整連の「自動車整備白書(令和7年度版)」の紹介ページには、レバーレート(令和5・6年度実績)の調査結果を第4章に掲載していると書かれています。白書は有料の刊行物のため、この記事では数値を引用していません。業界の調査値と比べたい場合は白書で確認してください。

標準作業時間と指数、標準作業点数表

作業時間の基準として整備工場が使える外部の資料には、日整連の標準作業点数表と、自研センターの指数があります。日整連の2025年版標準作業点数表(CD-R)は、2024年1月から12月までに新規発売又はフルモデルチェンジされた乗用車、貨物車、バス、二輪車について、定期点検と一般整備の標準作業点数をメーカー別、装置ごとに載せたもので、定価は39,600円と案内されています。毎年新しい車種の分が発行されるため、扱う車種の年式に合わせて必要な年版を揃えます。自研センターの指数は、主要な国産車と輸入車の構造調査や修理作業調査をもとに作られたもので、脱着・取替、補修塗装、板金修正、運転支援システムの再設定・調整などの種類があります。指数は事故修理の見積で保険会社とのやり取りに使われることが多く、一般整備が中心の工場なら標準作業点数表が主な基準になります。

基準作成者中身(公表内容)
標準作業点数表日本自動車整備振興会連合会定期点検と一般整備の標準作業点数。メーカー別、装置ごと。年版ごとに新型車を収録
指数株式会社自研センター修理の作業時間。工具類、消耗品、材料代、産業廃棄物の処理費用は含まない
自社の実績自分の工場作業指示書に記録した実際の作業時間

外部の基準は、作業の前提条件(同時に行う作業や付属品の脱着を含むかどうか)が決められています。自研センターのQ&Aでも、前提と異なる作業をするときは別に工数を足すよう案内しています。外部の基準をそのまま使うのでなく、前提を読んでから使うと、見積と実際の作業時間のずれが減ります。

自社のレバーレートの出し方

自社のレバーレートは、1年間に工場を動かすのにかかる費用と残したい利益を足し、それを1年間に客へ請求できる作業時間で割って出します。費用には、整備士の給与と社会保険料(経営者自身の分も含める)、家賃、リフトやテスターなど設備の返済やリース料、光熱費、保険料、システムの利用料などを入れます。部品の仕入れ値は部品の売値で回収するので、ここには入れません。難しいのは分母の作業時間です。整備士が工場にいる時間のすべてを請求できるわけではなく、受付、部品の手配、引取りや納車、掃除、検査の手続きなど、工賃にならない時間が必ず混ざります。工場にいる時間のうち請求できた作業時間の割合を稼働率と呼びます。稼働率を高く見込みすぎると、計算上のレバーレートが低くなり、実際には費用をまかなえなくなります。最初は作業指示書に実際の作業時間を書き、1か月分の実績から稼働率を出してください。

  1. 1年間の費用を書き出す(人件費、家賃、設備の返済とリース、光熱費、保険料、その他の経費)。
  2. 残したい利益(借入の元金返済や、次の設備のための積立て)を足す。
  3. 整備士ごとに、年間の出勤時間を出す。
  4. 出勤時間に稼働率を掛けて、請求できる作業時間を出す。
  5. 費用と利益の合計を、請求できる作業時間で割る。

計算の例を示します。数字はすべて説明用の仮の値です。費用と利益の合計を年A円、整備士2人の出勤時間を合計で年B時間、稼働率を70%とすると、レバーレートはA÷(B×0.7)です。仮にAが1,000万円、Bが4,000時間なら、1,000万円÷2,800時間で約3,571円になります。稼働率を90%と見込めば約2,778円まで下がりますが、実際の稼働率が70%なら、その差の分だけ毎年の費用が足りなくなります。

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工賃の地域相場の調べ方と同業者との申し合わせの禁止

工賃の地域相場は、近くの工場が店頭やウェブサイトに出している料金表を見て調べるのが確実です。道路運送車両法施行規則第62条の2の2第1号は、点検や整備の作業を行う事業場に、作業の料金を事業場で依頼者に見やすいように掲示し、常時使用する従業員が5人以下の場合と自社のウェブサイトがない場合を除いて、ウェブサイトにも掲載するよう定めています。そのため、近くの認証工場の料金表は、店頭か各社のウェブサイトで確認できることが多くなっています。一方で、気をつけたいのが同業者どうしの料金の申し合わせです。公正取引委員会の「事業者団体の活動に関する独占禁止法上の指針」は、事業者団体が構成事業者の商品や役務の価格を決めたり、その維持や引上げを決めたりすることを価格制限行為とし、原則として独占禁止法第8条に違反するとしています。同委員会の相談事例では、団体が会員を拘束しない目安として標準料金表を作ることも、価格設定の基準を示すものとして問題になると回答しています。

  • 相場は、公開されている料金表や自分で取った見積で調べる。
  • 同業者の集まりで、工賃をいくらにするか、いつ値上げするかを話し合わない。
  • 組合や同業者の会で「目安の料金表」を作る話が出たら、参加しない。
  • 自社の工賃は、自社の費用と作業時間から自分で決めたことを記録に残す。

相場より高い工賃にするときは、整備士の資格、スキャンツールなどの設備、作業後の説明や保証といった、料金の差を説明できる中身を料金表と一緒に示します。電子制御装置整備の設備をそろえた工場の考え方は整備工場のスキャンツール導入で扱っています。

工賃の表示と見積の説明のルール

整備工場の工賃は、決めたら掲示し、作業の前に見積で説明するところまでが省令の義務です。道路運送車両法施行規則第62条の2の2は、自動車特定整備事業者の遵守事項として、第1号で料金の掲示とウェブサイトへの掲載を、第2号で依頼者に必要と認められる整備の内容とその必要性を説明し、料金の概算見積りを記載した書面を交付するか電磁的記録で提供することを、第3号で行っていない点検や整備の料金を請求しないこと、依頼されない点検や整備を不当に行ってその料金を請求しないことを定めています。国の行政処分等の基準(令和2年4月改正版の写しで確認)では、料金表を掲示しない、内容が不適切な場合は3点、概算見積書の未交付は3点、点検整備料金の過剰請求は6点の違反点数が示されています。工賃表を作ることは、客への説明のためだけでなく、法令を守るためにも必要です。

規則第62条の2の2求められること工賃表との関係
第1号作業の料金を事業場に掲示。従業員5人超でウェブサイトがあれば掲載も工賃表をそのまま掲示できる形で作る
第2号整備の内容と必要性の説明、概算見積りの書面(又は電磁的記録)レバーレート×作業時間で見積を出す
第3号行っていない作業や、依頼されない作業を不当に行った料金を請求しない作業指示書と請求書を突き合わせる

工賃を決めたあとの利益の確かめ方は整備工場の利益率と粗利の考え方、車検の料金の組み立ては車検の料金設定と基本料金の決め方にまとめています。

工賃を見直すときの手順

工賃の見直しは、年に1回、決算の数字が出たときにレバーレートを計算し直すのが続けやすい方法です。日整連の令和7年度調査では、技術料(工賃)の対前年増減率は5.8%でした。令和2年度調査から6年続けてプラスで、直近3年は4.0%、5.1%、5.8%と伸び幅も大きくなっています。同じ調査では、専業の整備要員平均年収は395万7千円で、前年度から3.7%増えました。整備士の給与を上げれば、その分だけレバーレートの分子が増えます。人を雇うときの給与の考え方は整備士の求人と採用、独立までの全体の流れは整備士が独立・開業する方法で確認できます。見直しのときは、費用の増えた項目と、稼働率の実績を並べてから新しい単価を決めます。値上げを客に伝えるときは、料金表の改定日を店頭とウェブサイトに出し、改定前に予約を受けた作業をどちらの料金で行うかを決めておくと、受付で迷いません。常連の法人客には、改定の理由を書面で先に知らせておくと話が早く進みます。

  • 決算の数字から、1年間の費用を集計し直した。
  • 作業指示書の実績から、整備士ごとの稼働率を出した。
  • 新しいレバーレートを、費用と利益の合計÷請求できる作業時間で出した。
  • 工賃表の改定日を決め、店頭とウェブサイトの掲示を差し替える段取りを組んだ。
  • 改定前に予約を受けた作業の扱いを決めた。
  • 同業者と改定の時期や金額を話し合っていないことを確認した。

まとめ

整備の工賃は、レバーレート(1時間あたりの工賃単価)に標準の作業時間を掛けて決めます。作業時間の基準には日整連の標準作業点数表や自研センターの指数がありますが、自研センターは工賃の単価には関わっていないと明記しており、単価は各工場が自分で決めるものです。レバーレートは、1年間の費用と残したい利益の合計を、請求できる作業時間で割って出します。稼働率を高く見込みすぎないことが大切です。相場は公開されている料金表で調べ、同業者と料金を申し合わせることは避けます。決めた工賃は事業場に掲示し、作業の前に概算見積りを書面で渡すことが、道路運送車両法施行規則で求められています。

整備工場の工賃とレバーレートに関するよくある質問

レバーレートの全国平均はいくらですか?
日整連の自動車整備白書(令和7年度版)の紹介ページには、レバーレート(令和5・6年度実績)の調査結果を第4章に掲載していると書かれています。白書は有料の刊行物なので、数値は白書で確認してください。平均と比べる前に、自社の費用と稼働率から自社のレバーレートを出しておくと、平均との差が何から来ているかを判断できます。
指数と標準作業点数表はどう違いますか?
指数は自研センターが作成する修理の作業時間で、事故修理の見積に多く使われます。標準作業点数表は日整連が発行するもので、定期点検と一般整備の標準作業点数をメーカー別、装置ごとに載せています。どちらも作業時間の基準で、1時間あたりの単価は含まれていません。
工賃表はウェブサイトにも載せる必要がありますか?
道路運送車両法施行規則第62条の2の2第1号は、作業の料金を事業場に掲示し、ウェブサイトにも掲載するよう定めています。ただし、自動車特定整備事業に常時使用する従業員が5人以下の場合と、自ら管理するウェブサイトを持っていない場合は、ウェブサイトへの掲載は除かれています。事業場での掲示はどちらの場合も必要です。
近くの整備工場と工賃をそろえてもよいですか?
公開されている料金表を見て自社で判断するのは問題ありません。一方、同業者どうしで工賃の金額や値上げの時期を申し合わせることは、独占禁止法で禁じられた行為に当たるおそれがあります。公正取引委員会の指針と相談事例では、事業者団体が目安の標準料金表を作ることも問題になるとしています。
工賃の計算や見積を手早く出すにはどうすればよいですか?
作業ごとの工賃を登録しておき、見積書と請求書と整備記録簿を続けて作れるのが自動車整備システム(自動車整備ソフト)です。中古車の販売もするなら、車両販売システム(車販ソフト)とデータがつながるかを確認します。整備システム 比較や整備ソフト おすすめの情報を見るときは、整備ソフト 安いかどうかに加えて、整備システム リースなしで導入でき、レバーレートの分子になる固定費を増やしすぎないかも確かめてください。

出典

この記事は次の一次情報をもとに作成しています(2026年10月17日確認)。

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