指定工場の条件一覧|工員数・自動車検査員・検査機器・作業場の面積

指定工場の条件は、人、作業場、検査の機械、実績の4つに分けると見通しがよくなります。この記事では、指定工場の条件を一覧にし、工員数と整備士の人数、自動車検査員と主任技術者と事業場管理責任者の役割、屋内作業場と完成検査場と車両置場の面積、指定自動車整備事業規則第2条が定める9種類の検査用機械器具、検査設備の共同使用、車検実績の目安を、関東運輸局の「指定工場の基準」や法令の条文で確認します。工員の数え方のように、数字だけ見ても判断しにくい部分は、日本自動車整備振興会連合会のマニュアルにある解釈も添えました。自分の工場があと何を足せば条件を満たせるかを、項目ごとに確かめられる構成にしています。
この記事で確認した一次情報
- 指定工場の基準(関東運輸局)屋内作業場の面積、要員の人数
- 指定自動車整備事業規則 第2条〜第4条の2、第12条(e-Gov法令検索)検査用機械器具、共同使用、検査員、校正
- 指定自動車整備事業制度について(国土交通省)工員数と整備士の割合、大型車の定義
指定工場の条件の全体像
指定工場の条件とは、道路運送車両法第94条の2にもとづき、地方運輸局長が指定自動車整備事業の指定をするときに事業場ごとに確認する要件のことです。土台は自動車特定整備事業の認証で、その上に、優良自動車整備事業者認定規則が定める設備と技術と管理組織、指定自動車整備事業規則が定める自動車の検査の設備、自動車検査員の選任の3つが重なります。国土交通省は、指定を受けるために必要な施設として、認証の屋内作業場のほかに車両置場と完成検査場を挙げ、作業機械については認証に必要なものに加えて検査に必要な機器を求めています。人については、工員を4人以上置き、そのうち3分の1以上を自動車整備士とするよう案内しています。認証工場の条件を満たしているだけでは足りず、人、場所、機械のそれぞれに上乗せが要る、と考えると整理しやすいでしょう。認証の段階の条件は認証工場の条件にまとめています。
| 区分 | 指定工場で上乗せされる条件 |
|---|---|
| 人 | 工員4人以上(大型車を含むと5人以上)、整備士の割合3分の1以上、自動車検査員を選任します。 |
| 場所 | 認証の屋内作業場に加えて、屋内の完成検査場と車両置場を確保します。 |
| 機械 | 指定規則第2条の検査用機械器具をそろえ、毎年校正を受けます。 |
| 実績 | 振興会資料の審査の基準では、月平均の車検持込台数と再検率を見ます。 |
指定工場の工員数と整備士の人数の条件
指定工場の工員数は、対象とする自動車に大型車を含まない場合は4人以上、含む場合は5人以上が条件です。関東運輸局の「指定工場の基準」では、大型車を車両総重量8トン以上、最大積載量5トン以上又は乗車定員30人以上の自動車としています。大型車を含む場合でも、省力化機器の保有など通達の条件を満たせば4人以上とする注記があります。整備士は2人以上で、かつ工員に占める割合が3分の1以上でなければなりません。この割合の計算では、自動車タイヤ整備士、自動車電気装置整備士、自動車車体整備士は数えません。たとえば工員が6人なら整備士は2人以上、7人なら3人以上が必要になる計算です。工員の数え方については、日本自動車整備振興会連合会の「指定整備事業適正運営マニュアル」が、常時点検や整備の作業に直接従事している人で、見習工も含むと説明しています。一方で、一時的に雇う人、作業を請け負っている人、工具係や部品係は含みません。
| 要員(関東運輸局「指定工場の基準」) | 大型車を含む | 大型車を含まない |
|---|---|---|
| 事業場管理責任者 | 1人以上 | |
| 工員数 | 5人以上(注記の条件で4人以上) | 4人以上 |
| うち主任技術者 | 1人以上 | |
| うち整備主任者 | 1人以上 | |
| うち自動車検査員 | 1人以上 | |
| うち整備士 | 2人以上かつ保有割合3分の1以上(タイヤ、電気装置、車体の整備士を除いて数えます) | |
同じマニュアルは、同一事業者の別の事業場の検査員を兼ねる人について、兼任する事業場のうち1か所に限り工員として数えてよいとしています。1事業場あたり1人までという制限付きです。人数が基準ぎりぎりの工場は、1人の退職で条件を割り込むので、採用の計画を早めに立てておくと安心です。基準を割ったときの扱いは指定工場の監査と行政処分で説明しています。採用の進め方は整備士の求人と採用で扱っています。
指定工場に必要な自動車検査員と主任技術者、事業場管理責任者
指定工場には、工員の人数とは別に、自動車検査員、主任技術者、事業場管理責任者という役割を担う人を置く必要があります。自動車検査員は完成検査をして保安基準に適合するかを証明する人で、指定規則第4条により、整備主任者として1年以上(1級整備士の合格者は6か月以上)の実務経験を持ち、地方運輸局長が行う教習を修了した人などから選任します。主任技術者について、振興会連合会のマニュアルは、整備技術の総括責任者として従業員への技術教育、作業工程の管理、設備機器の管理を担う人と説明しています。事業場管理責任者は、事業者本人や役員など経営に参加している人、又は経営の職務と権限を任された人で、事業場の統括責任者です。適合証の交付業務の管理もこの人の責務です。検査工は検査に係る車の整備作業に直接従事してはならず、点検に欠かせない作業や増し締めのような軽微な作業に限られる、という解釈も同じマニュアルに示されています。
| 役割 | 主な責務(振興会連合会マニュアルの解釈) |
|---|---|
| 事業場管理責任者 | 事業計画の決定と執行、適合証の交付業務を含む事業場全般の管理、関係法令の教育を担います。 |
| 主任技術者 | 整備技術の教育、作業工程の管理と作業能率の向上、設備機器の管理を担います。 |
| 自動車検査員 | 完成検査を自ら行い、保安基準に適合する旨を証明します。 |
検査員は他の事業場の検査員を兼ねられません。例外は、同じ指定自動車整備事業者の別の事業場で、位置や検査業務量が指定規則第4条の2の要件を満たす場合だけです。検査員のなり方や教習の詳しい中身は自動車検査員になるにはをご覧ください。
指定工場の作業場の面積と完成検査場、車両置場の条件
指定工場の作業場の面積は、対象とする自動車の種類ごとに屋内作業場の現車作業場と部品整備作業場の最低面積が決まっており、小型四輪自動車などを扱う場合は現車作業場64平方メートル以上、部品整備作業場8平方メートル以上です。関東運輸局の「指定工場の基準」では、この屋内作業場は認証工場としての屋内作業場と兼用できるとしています。そのうえで、屋内に、対象とする車両の完成検査を行うのに十分な面積の完成検査場が必要です。振興会資料の審査の基準は、完成検査場の面積を屋内現車作業場の基準面積の外として扱うとしているので、認証の作業場の一部を検査場に充てて面積を満たす形は取れません。車両置場は、屋内現車作業場の面積の0.3倍以上が目安で、屋内か屋外かは問いません。物件を探す段階で指定まで見すえるなら、建物の中に検査ラインを置ける奥行きと、車両置場に回せる敷地があるかを最初に確かめておくと、後から移転せずに済みます。
| 対象とする自動車の種類 | 現車作業場 | 部品整備作業場 |
|---|---|---|
| 普通自動車(大型)、大型特殊 | 130㎡以上 | 12㎡以上 |
| 普通自動車(中型) | 100㎡以上 | 12㎡以上 |
| 普通自動車(小型) | 72㎡以上 | 10㎡以上 |
| 普通自動車(乗用)、小型四輪、小型三輪 | 64㎡以上 | 8㎡以上 |
| 小型二輪自動車 | 21㎡以上 | 4㎡以上 |
| 軽自動車 | 35㎡以上 | 6.5㎡以上 |
表は関東運輸局資料の区分を簡略化したものです。中型と小型の区分には最大積載量や乗車定員の細かな条件があるので、原典と管轄の運輸支局で確認してください。居抜きの建物を検討している方は整備工場の居抜き物件も参考になります。
指定工場の条件となる検査用機械器具(指定規則第2条の9種)
指定工場の検査用機械器具は、指定自動車整備事業規則第2条第1項第2号が9種類を定めており、対象とする自動車を検査できるものを事業場に備える必要があります。9種類は、ホイールアライメントテスタ又はサイドスリップテスタ、ブレーキテスタ、前照灯試験機、音量計、速度計試験機、一酸化炭素測定器、炭化水素測定器、黒煙測定器又はオパシメータ、検査用スキャンツールです。対象車によっては一部が不要で、四輪以上の自動車を含まなければアライメント系のテスタ、軽油を燃料とする自動車を含まなければ黒煙測定器、ガソリンや液化石油ガスの自動車を含まなければ一酸化炭素と炭化水素の測定器を備えなくてもよいとされています。機器は技術上の基準に適合していなければならず、指定規則第12条により、検査用スキャンツールを除く機器は備付け又は前回の校正から1年以内に登録校正実施機関の校正を受け、その記録を1年間保存します。
| 検査用機械器具(指定規則第2条) | 備えなくてもよい場合 |
|---|---|
| ホイールアライメントテスタ又はサイドスリップテスタ | 対象に四輪以上の自動車が含まれないときは不要です。 |
| ブレーキテスタ | 省略の定めはありません。 |
| 前照灯試験機 | 省略の定めはありません。 |
| 音量計 | 省略の定めはありません。 |
| 速度計試験機 | 省略の定めはありません。 |
| 一酸化炭素測定器、炭化水素測定器 | ガソリン又は液化石油ガスを燃料とする自動車が含まれないときは不要です。 |
| 黒煙測定器又はオパシメータ | 軽油を燃料とする自動車が含まれないときは不要です。 |
| 検査用スキャンツール | 大型特殊自動車と二輪の小型自動車以外を扱わないときは不要です。 |
検査機器一式の価格は、機種やライン構成、設置工事の内容で大きく変わります。対象とする車種と燃料を決めてから、必要な機器の一覧を作り、複数の業者から見積を取って比べてください。校正の費用も毎年かかる費用として見積に含めておくと、資金計画がぶれにくくなります。開業資金の考え方は整備工場の開業資金にまとめています。
指定工場の検査設備の共同使用の条件
指定工場の検査設備は、道路運送車両法第94条の2第3項と指定規則第3条の要件を満たせば、2つ以上の事業場で共同使用でき、それぞれの事業場に所属する検査の設備とみなされます。指定規則第3条が挙げる要件は6つです。共用設備の管理責任者が明確に定められていること、機器の取扱要領や点検要領などの管理規程が明確であること、道路交通の状況や使い方からみて全ての使用者が支障なく検査業務を行える位置にあることが前半です。後半は、設備の能力が全ての事業場の整備能力に見合うこと、契約で全ての使用者が支障なく使えると明確に定めていること、検査をする車を一時的に置ける車両置場が附置されていることです。行政処分等の基準では、共用先の事業場までの所要時間が常に1時間を超えていた場合に違反点数3点が付くとされています。検査ラインを一から用意するのが重い小規模の工場にとって、共同使用は現実的な選択肢になりえます。
- 共用設備の管理責任者が誰か、契約書と管理規程に書かれているか。
- 自分の事業場から共用設備まで、普段の交通状況で無理なく往復できるか。
- 共用設備の能力に、参加する全ての事業場の整備台数を受け止める余裕があるか。
- 共用設備の近くに、検査待ちの車を置ける車両置場があるか。
指定工場の条件としての車検実績と優良認定の設備機器
指定工場の審査では、人や設備のほかに車検の実績と、優良認定規則に沿った整備用の設備機器も見られます。振興会資料に載っている審査の基準の例では、月平均の車検持込台数が、最近6か月なら10台以上、最近3か月なら20台以上、最近2か月なら30台以上など、期間ごとの台数のいずれかを満たし、再検台数が持込総数の3%以下であることを原則としています。同じ資料の設備の基準には、シャシルブリケータ、オイルバケットポンプ、ホイールバランサ、ラジエータキャップテスタ、レギュレータテスタ、コンデンサテスタ、コイルテスタ、検車装置が「作業に必要な数量と機能を保有」すべきものとして並んでいます。フリーローラと電子計測機器は「保有することが望ましい」とされる項目です。サーキットテスタが代用になる場合は、レギュレータテスタなど3種を保有しているとみなす注記もあります。いずれも運用の基準なので、最新の扱いは管轄の運輸支局と振興会で確認してください。
| 項目(振興会資料の審査の基準) | 基準 |
|---|---|
| 車両置場 | 屋内現車作業場面積の0.3倍以上が求められ、屋内でも屋外でもかまいません。 |
| 完成検査場 | 屋内に設け、屋内現車作業場の基準面積とは別に数えます。 |
| 車検実績 | 最近6か月で月平均10台以上などのいずれかを満たし、再検は3%以下が原則です。 |
車検実績は認証工場として持込検査を続けるなかで積み上がるものです。指定を受けるまでの順番は認証工場から指定工場になるにはで整理しています。
指定工場の条件チェックリスト
次の項目を自分の工場に当てはめると、指定工場の条件のうち何が足りていて何が足りないかがわかります。
- 工員が4人以上(大型車を扱うなら原則5人以上)いて、見習工を含めて数えている。
- タイヤ、電気装置、車体の整備士を除いた整備士が2人以上で、工員の3分の1以上いる。
- 事業場管理責任者、主任技術者、整備主任者、自動車検査員を誰が務めるか決まっている。
- 検査員の候補が整備主任者として1年以上(1級は6か月以上)の実務経験を積んでいる。
- 屋内作業場が対象車種の面積を満たし、別に屋内の完成検査場を取れる。
- 車両置場を屋内現車作業場の0.3倍以上確保できる。
- 対象車種と燃料に応じた検査用機械器具の一覧を作り、見積を取った。
- 検査設備を共同使用するなら、指定規則第3条の6つの要件を契約と規程で満たせる。
まとめ
指定工場の条件は、認証を土台に、人、場所、機械、実績を上乗せする形で決まっています。人は工員4人以上(大型車を含むと原則5人以上)、整備士2人以上かつ3分の1以上で、事業場管理責任者、主任技術者、整備主任者、自動車検査員をそれぞれ置きます。場所は認証の屋内作業場に加えて、基準面積とは別の屋内の完成検査場と、屋内現車作業場の0.3倍以上の車両置場が目安です。機械は指定規則第2条の9種類から対象車に応じてそろえ、スキャンツール以外は毎年登録校正を受けます。検査設備は第3条の要件を満たせば共同使用もできます。車検実績は振興会資料に月平均台数と再検率の目安があります。足りない項目を一つずつ埋める順番を決め、管轄の運輸支局と振興会で最新の扱いを確かめてください。
指定工場の条件に関するよくある質問
- 指定工場の工員数は何人必要ですか?
- 対象とする自動車に大型車(車両総重量8トン以上、最大積載量5トン以上又は乗車定員30人以上)を含まない場合は4人以上、含む場合は5人以上です。大型車を含む場合でも、省力化機器の保有など通達の条件を満たせば4人以上とされています。関東運輸局の「指定工場の基準」にこの区分が載っています。
- 指定工場の条件で、整備士は何人いればよいですか?
- 整備士は2人以上で、かつ工員に占める割合が3分の1以上必要です。自動車タイヤ整備士、自動車電気装置整備士、自動車車体整備士はこの割合に数えません。工員6人の工場なら整備士2人以上が目安です。
- 指定工場に必要な工具や検査機器は何ですか?
- 指定自動車整備事業規則第2条が、ホイールアライメントテスタ又はサイドスリップテスタ、ブレーキテスタ、前照灯試験機、音量計、速度計試験機、一酸化炭素測定器、炭化水素測定器、黒煙測定器又はオパシメータ、検査用スキャンツールの9種類を定めています。これに加えて、優良認定規則に沿った整備用の設備機器も審査の対象です。
- 検査ラインを自前で持たなくても指定工場になれますか?
- 道路運送車両法第94条の2第3項と指定規則第3条の要件を満たせば、検査の設備を複数の事業場で共同使用でき、各事業場の設備とみなされます。管理責任者と管理規程が明確で、全員が支障なく使える位置と能力があり、契約で定め、車両置場が附置されていることが要件です。
- 指定工場の人数や記録を管理するのに使えるシステムはありますか?
- 工員数や整備士の割合、車検台数は審査と監査の両方で見られるため、日々の作業と車検の記録をまとめて管理できると確認が楽になります。自動車整備システムや自動車整備ソフトを選ぶときは、整備システム 比較や整備ソフト おすすめの記事も参考にしながら、整備ソフト 安いかどうかと、整備システム リースなしで始められるかを確かめてください。中古車の販売もするなら、車両販売システムや車販ソフトと整備の顧客情報を一緒に扱えるかも比べる項目になります。
出典
この記事は次の一次情報をもとに作成しています(2026年10月17日確認)。
- 関東運輸局 指定工場の基準:https://wwwtb.mlit.go.jp/kanto/content/000163110.pdf
- 国土交通省 指定自動車整備事業制度について:https://www.mlit.go.jp/jidosha/shiteiseibi.html
- 指定自動車整備事業規則(e-Gov法令検索):https://laws.e-gov.go.jp/law/337M50000800049
- 道路運送車両法(e-Gov法令検索):https://laws.e-gov.go.jp/law/326AC0000000185
- 指定自動車整備事業の概要(自動車整備振興会資料):https://www.g-oasis.jp/pdf/spec_cert/spec_cert_02.pdf
- 行政処分等の基準(国自整第352号、令和2年4月改正版の写し):http://gjs.jp/wp/wp-content/uploads/2024/03/特定整備行政処分の基準.pdf
- 日本自動車整備振興会連合会 指定整備事業適正運営マニュアル(平成24年7月)