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整備工場がエーミング・特定整備に対応するには|認証・設備・費用を解説

公開日:2026年8月2日

先進安全機能を搭載した車が当たり前になり、フロントガラスやバンパーを外す整備のあとにはエーミング(センサーの調整・校正)が欠かせなくなりました。エーミングを含む「特定整備」を行うには、整備工場側で電子制御装置整備の認証と専用の設備が必要です。この記事では、整備工場が特定整備・エーミングに対応するために必要な認証・設備・費用を、整備工場の開業・整備士の独立目線で解説します。

特定整備・エーミングとは

特定整備とは、2020年4月の道路運送車両法改正で「分解整備」から名称・範囲が拡大された整備区分です。従来のエンジン・ブレーキ・足回りの分解整備に加え、自動運行装置や運転支援システム(カメラ・レーダー・センサー類)にかかわる電子制御装置整備が対象に加わりました。エーミングは、この電子制御装置整備に含まれるセンサーの軸合わせ・校正作業のことです。

たとえば、フロントガラス交換でカメラを外した、バンパー脱着でミリ波レーダーの位置がずれた、といった場合、そのままでは自動ブレーキや車線維持などの機能が正しく作動しません。エーミングで基準どおりに調整して初めて、安全機能が正常に働きます。

経過措置は2024年3月末で終了しています。対象作業を認証なしで行うと道路運送車両法違反になるため、扱う作業に応じて認証を取得する必要があります。

特定整備に該当する主な作業

逆に、オイル交換やタイヤ交換など分解や電子制御装置に影響しない軽微な作業は特定整備には当たりません。自社でどこまで対応するかを決め、必要な認証を取得しましょう。

エーミングに対応するには「電子制御装置整備」の認証が必要

エーミングを行うには、通常の特定整備の認証に加えて電子制御装置整備の認証が必要です。取得には、整備主任者に電子制御装置整備の講習・実務などの要件が加わり、後述の専用設備を備える必要があります。認証工場・指定工場のいずれでも、この認証がなければエーミングは行えません。認証取得の全体像は 認証工場とは?取得条件・費用・指定工場との違い、申請の流れは 認証工場の取得方法と流れ をご覧ください。

エーミングに必要な設備

エーミングには、その場で基準板を使って調整する「静的エーミング」と、実際に走行して調整する「動的エーミング」があり、車種・メーカーによって方式や必要環境が異なります。対応したい車種に合わせて設備を選びましょう。

静的エーミングと動的エーミングの違い

エーミングには大きく2つの方式があり、車種・メーカー・センサーの種類によって指定される方式が異なります。

方式 内容 必要なもの
静的エーミング 工場内でターゲット(基準板)を設置して校正する ターゲット・治具、水平で十分な広さ・明るさの作業場
動的エーミング 実際に一定条件で走行してセンサーを校正する スキャンツール、規定条件で走行できる道路環境

1台の車で静的・動的の両方が必要になることもあります。自社で対応する車種に、どちらの方式・環境が必要かを事前に把握しておきましょう。とくに静的エーミングは、床の水平と一定の作業スペースが確保できるかが対応可否を分けます。

自社対応と外注、どちらを選ぶ?

エーミングは、すべて自社で設備を持って対応する方法と、専門業者や連携先に外注する方法があります。開業初期は投資を抑えて外注・連携で対応し、需要が見えてきたら自社導入する、という進め方も有効です。逆に、ガラス交換や鈑金を主力にするなら、自社でエーミングまで完結できると外注コストと納期を削減でき、大きな武器になります。事業の主力と車種構成を踏まえて判断しましょう。

エーミング対応にかかる費用の目安

費用の中心はスキャンツールとターゲット類の導入です。対応範囲や機種によって幅がありますが、スキャンツールは高機能なものほど高額になります。全メーカー・全車種に自社対応するのは投資が大きいため、まずは需要の多い車種・メーカーに絞って導入し、対応できない車種は外注・連携でカバーするという段階的な進め方が現実的です。設備投資には補助金を活用できる場合もあります(整備工場の開業資金と補助金 を参照)。

エーミングの工賃・価格設定の考え方

エーミングは専門設備と技術を要する作業のため、通常の整備とは別の工賃を設定するのが一般的です。ディーラーや大手カー用品店でも作業料金が設定されており、車種・方式(静的/動的)・センサーの種類によって幅があります。自社の価格を決めるときは、設備の減価償却・作業時間・技術の希少性を踏まえ、安売りしすぎないことがポイントです。対応できる工場がまだ少ない今だからこそ、価格ではなく「確実に校正できる技術」で選ばれる工賃設定を意識しましょう。

導入前に決めておくこと

これらを事業計画の段階で決めておくと、必要な認証・設備・投資額が明確になり、無駄のない準備ができます。

特定整備記録簿の作成も忘れずに

特定整備(エーミングを含む)を行ったら、特定整備記録簿を作成・保存する必要があります。作業内容や校正の結果を記録し、法令に定められた期間保存します。記録簿の整備は、トラブル時の証明にもなり、工場の信頼につながります。

整備工場がエーミングに対応するメリット

よくある質問(FAQ)

Q. エーミングをしないとどうなりますか?

A. カメラやレーダーの向きがずれたまま走行すると、自動ブレーキや車線維持などの運転支援機能が正しく作動しないおそれがあります。対象作業のあとは必ずエーミングが必要です。

Q. 認証を受けずにエーミングをしてもいい?

A. いいえ。エーミングは特定整備(電子制御装置整備)にあたるため、認証を受けずに行うと道路運送車両法違反になります。

Q. 全メーカーに対応する必要がありますか?

A. 必須ではありません。まず需要の多い車種・メーカーに絞って設備投資し、対応外は連携・外注で補う進め方が現実的です。

Q. 特定整備の義務化はいつからですか?

A. 制度は2020年4月に施行され、経過措置は2024年3月末で終了しています。対象作業を行う工場は認証の取得が必要です。

Q. 特定整備と分解整備の違いは何ですか?

A. 特定整備は従来の分解整備に「電子制御装置整備(自動運行装置・運転支援システムの整備=エーミング等)」を加えて範囲を広げた区分です。分解整備は特定整備の一部という位置づけになります。

Q. 特定整備記録簿は必要ですか?

A. 必要です。特定整備を行ったら特定整備記録簿を作成し、法令で定められた期間保存します。作業・校正の記録は信頼とトラブル防止にもつながります。

まとめ

整備工場がエーミング・特定整備に対応するには、電子制御装置整備の認証、スキャンツールやターゲットなどの設備、水平の出せる作業環境が必要です。投資は小さくありませんが、エーミング需要は今後さらに伸び、対応できる工場は強力な差別化になります。まずは認証取得と、需要の多い車種への段階的な設備投資から始めましょう。認証取得や設備計画でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。

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